成長する中国食品市場への進出と戦略
2011年5月20日(金)、東京ビックサイトで開催された第9回ヘルスフードエキスポで、中国に自社工場を持ち、漢方理論に基づく独自の製品開発やOEM供給を手がける、潟Vンギー 取締役 高島亜紀子氏が「成長する中国食品市場への進出と戦略」と題して講演した。

27種類のヘルスクレーム分類の中から申請

高島氏は中国市場の現状について以下のように述べた。
右肩上がりで今後も成長が期待できる中国市場に多くの日本企業が進出を検討しているが、健康食品市場についてはいくつか問題点がある。

最大の問題点は、日本での製造品の輸出は、関税・輸送費などでコスト高になり、価格が見合わないということ。とはいえ、中国の工場での製造となると品質不安が生じるという日本企業もある。

また、中国と日本では食薬区分が大きく異なり、申請方法も面倒であるということ。加えて、コピー天国の中国、商標等の法の違いもある。

中国の食薬区分は、医薬品と保健食品と食品の3分類。日本は医薬品と食品の2分類だが、中国では日本のトクホに近い保健食品という区分があり、そこには27種類のヘルスクレームが分類されており、その中から近いものを選んで商品を申請することになる。

海外製品を規制するためにさまざまな措置

ヘルスクレームのなかには肌荒れやニキビといった、比較的一般的なものから、変わったところでは放射線対策など、かなり細かく分類されている。日本のサプリメントなどを中国で販売したい場合は、食品から保健食品のカテゴリーに移行し、さらに27種類のヘルスクレームの分類の中で申請することになる。

しかしこの申請には平均して2〜3年という時間がかかるだけでなく、コストもおよそ500万〜1000万円程かかるのが一般的。保健食品の申請のハードルが余りにも高いため、形状や仕様を変更し、食品にして申請する日本企業もある。

これにより、法的なハードルは保健食品よりもかなり低くなり、申請時間も平均3ヶ月程度に大幅カットすることができる。しかし、以前は一度申請すれば許可が3年程有効であったが、近年は半年ごとに更新をしなければならないシステムになり、食品でも非常に面倒になっている。

これは中国政府が海外製品をある程度規制するために、様々な措置を講じているためで、原発の日本への風評もあり、こうした規制や対応はますます硬化していくのではないかと予想される。

中国の富裕層が満足できるような健康食品が狙い目

中国での販路については、市場は日本とさほど変わらず、店舗が38,3%、訪問が43,7%、ネットが10,9%、その他が7,1%となっている。

日本企業は店舗出店で販路を拡張するのが一般的だが、出店には莫大なコストがかかり、数字がでなければ即刻撤退させられるなど厳しい状況で、進出を企てる多くの日本企業が販路を模索している状態である。

しかし中国の健康食品市場そのものでは、ダイエット、バストアップ、アイケア、コラーゲン、ヒアルロン酸などに関する商品の人気が非常に高く、売り上げも堅調に伸ばしている。

とくに中国の富裕層が満足できるような健康食品はまだ市場に流通しておらず、日本の良質な商品を今のから中国進出を目指し展開させておくことはマーケット的にも非常に期待できることである。

日本のドラックストアをモデルに経営改革

現在中国は、経済の発展に伴い、人々の所得も増加傾向にあることから、スーパーにもあらゆる商品が並ぶようになり、他の先進国と同様の消費傾向にある。また中国国民は消費を非常に楽しんでいる傾向があり、食生活やライフスタイルも欧米化の方向へと大きく変貌を遂げつつある。その一方で肥満や糖尿病などの慢性疾患や、生活習慣病も急激に増加していることも報告されており、そうした人々の増加にともない、今後は健康意識の高まりが予測される。

都会の富裕層や若い女性はすでに健康意識が高く、サプリメントや健康食品をライフスタイルに積極的に取り入れるようになっている。国民全体の生活様式の変化にともない、薬局もドラックストア化が進み、薬以外の日用品も大量に取り扱う日本のドラックストアをモデルに、中国の薬局が経営改革をはじめている。

今後はドラックストアへの販路拡大も中国市場へ参入するには不可欠であろう。化粧品などですでにmade in Japanが人気を博しているが、サプリメントや健康食品でも日本ブランドの人気が高まることが予測される。

中国の健康食品市場は5年後には30%以上の市場拡大が見込まれ、良質な健康食品を持つ日本企業にとってもビジネスチャンスといえる。


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