ミセル化抽出プロポリスの最新研究報告
〜プロポリスの研究をすすめる会

2013年6月30日(日)、東京堂ホール(お茶の水神保町)で、「プロポリスの研究をすすめる会」によるプロポリスの最新研究報告が行われた。この中からプロポリスや免疫に関する研究を進める専門家の講演を紹介する。


プロポリスの80%がブラジル産

富山大学名誉教授の門田重利氏が「プロポリスの先端技術による生物活性の解明と科学的評価」と題して講演。
プロポリスとはミツバチが巣の保全のために作る粘着性物質で、人類がプロポリスを使用しはじめた歴史は紀元前300年前に遡る。当時は炎症の治療やミイラの保存に用いられていた。近年の研究では、炎症やガン、肝疾患、糖尿病等への有用性が報告されている。

世界はもちろん日本でもプロポリスは健康補助食品として十分認知されている。そして日本に輸入されているプロポリスの80%はブラジル産であるという。 しかしプロポリスはヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、アフリカなどさまざまな地域で生産されており、各プロポリスが採取される風土の違いやミツバチが餌にしている基源植物の違いなどでプロポリスの成分構成にも違いがあることがわかっていると門田氏。

従って、プロポリスの健康補助食品としての地位をより確実なものとするため、異なるプロポリスを化学的に比較評価することは非常に重要であり、門田氏らの研究チームはそうした分析や研究を行ってきたという。

例えばブラジルのプロポリス採取の現場では経験的に等級判別を行ってきた。採取時の色調については茶褐色より濃緑色のほうがグレードが高い。香りも少ないものより強いもののほうがグレードが高い。時期は秋・冬より春・夏のほうが良く、採取地域についても経験的な地区のもののほうが評価が高いという。

ミセル化抽出、アルコールや水で抽出される成分がほぼ検出

しかし実際これらを化学的に分析するとどうか。さらにグレードの異なるプロポリスエキス(抽出物)からどのような活性の違いがみられるのか。門田氏らは各等級のプロポリスエキスをメタノールと水という2種類の抽出方法で比較分析した結果を報告。

等級の異なる6つのブラジル産プロポリス、さらに2種の異なる抽出法によるプロポリスで、「細胞増殖阻害活性の有無」「DPPHラジカル消去活性の有無」「肝保護活性」を評価測定した結果、「肝臓保護活性」が等級の評価に最も適した活性試験であることを突き止めたという。

また、プロポリスの抽出法については、主なもので、アルコール、水、ミセル化とあるが、水抽出ではアルコールで抽出される成分が非常に少ないが、ミセル化抽出の場合、アルコールや水で抽出される成分がほぼ検出されることが分かったという。

またブラジル産プロポリスの中に含まれる41種類の抽出物のうち8種類の物質が肝保護活性に寄与する成分であることが明らかになった。さらに、経験的に等級が高いとされているプロポリスのほうにこれらの成分の含有量が多いことも明らかになった。

しかし採取される地域が異なると、プロポリスに含まれる物質も異なる。ブラジル産プロポリスで見つかった8種類の抽出物について、中国産やオランダ産プロポリスからは同定することができなかったという。

いずれにせよプロポリスの等級の判別や産地の特定は門田氏らにより、LC-MS分析で科学的に行うことができるようになった。採取地の異なるプロポリスに含まれる成分が異なる理由としては、やはりミツバチの餌となる基源植物が異なることが大きく、この植物の分析も重要であるとした。

プロポリスは非常に複雑な混合物であり、門田氏らのチームが単離同定した化合物だけでも50種類以上あるという。門田氏らの発表した学術論文は世界各国で引用されているが、さらなるプロポリス研究で新たな発見が期待されている。

オーリングテスト(共鳴反応)で判定

アドバンス・クリニック横浜院長の前田華郎氏が「プロポリス抽出液の適応例について」と題して講演。
前田氏とプロポリスとの出会いは看護師の紹介によるものだった。当初、調子が悪いという家族や親族などに試験的に飲ませてみたところ、良い反応が多かったことからプロポリスに注目するようになったという。

前田氏は臨床において補完代替医療を実践している。とくにオーリングテスト(共鳴反応)での診断が得意で、これにより食品や健康食品、薬品がその人に合っているかなどを判定するという。

例えば、大豆の中に、たった一粒遺伝子組み換えが入っていたとしても、それを判定できるという。この診断を希望し、前田氏のもとには人々が、日頃飲用している健康食品や医薬品が自分に合っているかどうか確認しにくるという。

健康食品の中にはプロポリスも多いが、前田氏はプロポリスは産地よりも抽出法のほうが重要と考えている。また形状については錠剤が比較的良いが、アルコールを飛ばしているため合う人が多いのではないかという。

プロポリスの摂取量を判定

プロポリスに限らず、医薬品にもいえるが、摂取量の上限やその薬品が体に合うかスクリーニングが非常に難しい。そこで前田氏はオーリングによる分子共鳴反応で、すべての物質が持つ波動とそれを摂取する人の波動が合うかどうかをみて、その人に必要な摂取量を判定する。この方法は極めて正確かつスピーディーで、痛みもなく、何より安価という。

私たちの体に異常が起こると、その情報が体の表面に現れる。これを識別するためにあらかじめ用意された多種多様な病気のサンプルや医薬品のサンプルを近づけ、オーリングで共鳴するかを診る。

体内に同じものが存在すると共鳴するため、指先の筋肉に反応が現れる。これにより、通常の検査では見つけることのできない病気やガンの超早期発見が可能となるだけでなく、摂取すべき医薬品、あるいはプロポリスの摂取量を判定していくことが可能という。

病気の治療において最も重要なことは超早期発見、そして正しい薬の判定、正しい量の処方、正しくその部位に効かせることであると前田氏。摂取した薬を正しく効かせる方法として、反射区療法を併用する方法を前田氏は紹介した。

プロポリス、唾液に殺菌効果

プロポリスが優れているのは、この診断で約92%の人に良い反応が出るということだと前田氏。多くの健康食品が不要という判定の中、90%を超えてマッチする食品は他になかなかないという。

プロポリスがどのようなメカニズムで効果を発揮するかは未知の部分が多いが、そもそもプロポリスはミツバチの唾液である。人間や動物は怪我をするとその傷口を舐める習性があるが、唾液には殺菌効果がある。

おそらくミツバチの唾液にも強い殺菌効果があるため、さまざまな効果を発揮するのではないかと前田氏。特に、切り傷、口腔内疾患、歯周病菌、虫歯菌、ピロリ菌、ウイルス、花粉症などに期待できるとした。



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