トレハロースをヒトで検証!抗メタボ作用
〜「食品開発展2013」セミナー

2013年10月9日〜11日、東京ビッグサイトで、「食品開発展2013」が開催された。同展示会のセミナーから蒲ム原(食品素材営業部)による「トレハロースが奏でる美味しさと健康〜ヒトで検証!抗メタボ作用」の講演内容を紹介する。


すっきりとした甘さが特徴

トレハロースは、グルコース2分子が結合した非還元性の二糖で、自然界ではキノコ類や海草類などにも含まれる。甘味度は砂糖の38%と控えめで、すっきりとした甘さが特徴。また、熱や酸にも強く安定していることから、さまざまな加工食品に添加され広く利用されている。

健常者がトレハロースを食品から摂取すると、血糖値の上昇が抑制され、その低下も非常に緩やかなものとなる。また、インスリン値も急激に増加することがなく、その低下も緩やかである。そのため、トレハロースはショ糖に比べ体に優しい甘味材として知られている。

マウス実験で肥満が緩やかに

しかし、これまでメタボリックシンドロームや糖尿病の抑制にどのように関わるのかは知られていなかったため、マウス実験で検証した。試験では、マウスに高脂肪食を3ヶ月摂取させ、脂肪細胞を肥大化させた。一群には高脂肪食のみを、二群には高脂肪食にトレハロースを添加したものを食べさせ、変化の違いを比較検討した。

結果、トレハロース添加を摂取していたマウスは肥満化したが、一群に比べると肥満が緩やかであった。また血糖値を正常に保つための処理能力である「耐糖能機能」が一群に比べ正常であることが明らかとなった。

ヒト試験で、インスリン感受性低下防止が明らかに

さらに、ヒト試験では肥満傾向にある34名の被験者(BMI23以上)を無作為に17名ずつに分け、トレハロース摂取群と、コントロール群としてスクロース(ショ糖)摂取群にした。それぞれの群に、朝昼晩の食事時3.3gのトレハロースまたはスクロースを自由に摂取してもらい(一日10g)、3ヶ月間にわたる経過観察を行った。

その結果、トレハロース摂取群は、細胞から悪玉のアディポサイトカインが分泌抑制され、結果的にインスリンの過剰分泌も抑制され、インスリン感受性低下を防ぐことが明らかとなった。

つまりトレハロースの肥満抑制作用は3ステップで行われることがわかった。まずは脂肪細胞の肥大化を抑制→インスリンの過剰分泌を抑制→耐糖能機能を改善する、というものである。これにより、血圧の上昇抑制も期待できる。

トレハロースはインスリン刺激の少ないエネルギー源で、メタボリックシンドロームの予防や高齢者食品の開発に役立つ。他にも、歯周病や骨粗鬆症予防のエビデンスも徐々に集まってきている。

料理に使用で、素材の鮮度維持や保存性が向上

トレハロースの生理機能の恩恵を受けるには、一日約10gの摂取が望ましい。料理に使用すると、素材の鮮度維持や保存性の向上、風味、色彩、食感の向上に役立つ。

ご飯を炊く際に添加すると、変色抑制だけでなく、水分量が増え米粒が水のみで炊き上げるより若干大きくなり、甘味や歯ごたえもアップする。野菜も色を鮮やかにし、旨味が増す。

肉に使用するとパサつきが抑えられ肉の柔らかさが持続する。うどんやパスタでは、表面の滑らかさが保たれ、麺が茹でのびしにくくなる。他にもハンバーグ、スクランブルエッグ、パンなどへの利用が効果的である。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.