Kリゾレシチンによる細胞(膜)栄養療法
〜IMEC 2014「第10回統合医療展」セミナー

2014年2月20日(木)、東京ビッグサイトで、IMEC 2014「第10回 統合医療展」が開催された。同展示会のセミナーから、神津 健一氏(NPO法人予防医学・代替医療振興協会 理事長)の「細胞(膜)栄養療法とサプリメントの必要性」を取り上げる。


現代人は細胞を汚染しやすい生活を送っている

薬や添加物といった本来人体に不要な物質は細胞に何らかの悪影響を与えている。それらが細胞だけでなく細胞膜にどのような影響を与えているかについて知る必要がある。

現在、日本では生活習慣病の患者が溢れ、世界的に見ても薬漬けで、国民皆保険はもはや破綻状態といわれている。国民一人ひとりが「健康」を自分のこととして考えるべきだと神津氏。

世界的に有名なアメリカの細胞生物学者であるブルース・リプトン氏の研究で、そもそも細胞は栄養素には飛びつくが汚染物には飛びつかないようにできている。にもかかわらず、私たちは薬を中心に多種多様な化学物質を取り込み、細胞を汚染しやすい生活を送っている。

この現象は胎児にまで及んでいることも近年報告されている。健康な胎児を育むために必要な栄養素を送る「へその緒」からも数々の汚染物質が検出されている。

奇形精子、インスタント食品と関連

つまり、現代人は生まれる前から汚染がはじまっていると神津氏は指摘する。また奇形精子も問題となっている。不妊の原因は女性にばかりあるのではない。

平均21歳の60名の男性の精子を調べたところ、正常な精子と判定されたのはわずか2名の精子にすぎなかったという報告もある。この調査に参加した60名の男性の普段の食生活はインスタント食品が中心であったという。

食と健康状態や精神状態の関係が指摘されるようになり、食生活を見直そうという動きは日本全国で高まっている。戦後、学校給食が広がり日本は飽食の時代を迎えたが、不幸にも栄養のアンバランスが起こっている。飽食だが必要な栄養が摂れない、足りないという飽食における栄養失調状態である。

しかし、いくつかの小中学校では給食を伝統的な和食にし、パン食を減らすことや玄米を導入することで、成績面や性格面で優れたプラスの効果を発揮しモデル校として知られるようになる例も増えている。

パン食だけではない。喫煙率の高い中学校などではやはりトラブルが多く、これは汚染物質を取り込んでいることとも関係しているのではないかと神津氏はする。

日本では毎日5〜6件の殺人事件が起こり、90人以上が自殺で命を断っている。こうしたことも食生活と関係していると疑わざるを得ない。これらの関連性が明らかになるにつれ栄養療法に注目が集まっている。

重要なのは細胞の核よりも膜

栄養を必要とするのは私たちの体や内臓のすべてを構成する細胞だが、細胞について知られていないことが多い、と神津氏。細胞とは私たちの生命や知性、エネルギーのすべてを司るが、重要なのは細胞の核よりも膜である。

細胞膜の50%はアミノ酸、残りの50%はリン脂質(レシチン)でできている。この細胞膜は細胞内への栄養の取り込み、そして細胞内の不要なものの排出という重要な役割を果たしている。

リン脂質は善玉だが脂質のため、これまであまり研究されてこなかった。しかしブルース・リプトン氏の研究等から、近年は細胞膜の重要性が明らかにされている。

核除実験から細胞膜の重要性が明らかに

例えば、核除実験で分かったことだが、細胞内の心臓と思われていた核を除去しても細胞は死なない。しかし細胞の膜を取り除くと細胞には栄養の取り込みと排出が行われないため死んでしまう。細胞は核がすべてではなく、膜がなければ栄養は核にも届かない。細胞膜のほうが核の脳となっている。

私たちは健康のため栄養素を取り込もうとするが、口から食べた物がすべて吸収されるという保証はない。核除実験から細胞膜の重要性が明らかになったが、どんな核酸食品やサプリメントを摂取するにもリン脂質を一緒に摂取することで吸収が高まる。

例えば、体重を増やしたいのに、どんなに栄養を摂っても太れない、栄養の吸収が悪い人がいる。これは細胞膜が機能していないから栄養が入らない状態である。一方で、あまり食べていなくても太る人もいる。これも細胞膜が正常な機能を失い、特に細胞膜のリン脂質が足りないためいたずらに脂肪を吸収している状態であると神津氏は解説。

細胞膜こそ私たちの生命線

いずれの場合も細胞膜の機能を正常に改善させなければ栄養の吸収と不要物の排出がうまくいかない。この発想こそ細胞膜栄養療法であり、がんも同様。細胞の核が細胞膜から十分な酸素を吸収していれば、細胞はがんにならないという。

しかしこの酸素吸収率が35%以下に低下すると細胞はがん化するという。うつ病や認知症の人の多くも、脳内で脳神経細胞が細くなり連結が不十分なため情報の伝達がスムーズにいかなくなっている。

それによって極端に攻撃的になったり、無気力になったりという諸症状が生じる。つまり細胞膜こそ私たちの生命線であり、この細胞の膜を強化し、細胞の膜の成分であるリン脂質を受け皿に必要な栄養素を補うことが細胞膜栄養療法であるという。

レシチン経口摂取で脳内の伝達物質が増加

では細胞膜の成分であるリン脂質(レシチン)そのものはどのようにすれば吸収率が上がるのか。吸収を良くするために用いられる一般的な方法が「低分子化」である。

レシチンにおいても低分子レシチンを経口摂取した後のヒトの脳波にどのような変化が起こるかマサチューセッツ大学が行った実験によると、15分後、30分後、60分後と経時的に脳内でα波の増加が見られた。

他にもドーパミンやセロトニンといった脳内の伝達物質の増加が見られたという。そのため現在、レチシンはアルツハイマーへの治療薬にもなりうるのではないかと期待されているという。

どのようなレシチンであれば吸収がより高まるのか、いろいろな比較実験がおこなわれているが、普通のレシチンではあまり吸収がよくないという。しかし低分子にしただけでも十分とはいえない。

物質は精製すればするほど有害になる可能性

そこで神津氏が開発したKリゾレシチンに注目が集まっているという。Kリゾレシチンは純度わずか10%だが、低分子レシチンと比較しても抜群に吸収率が高まる。

純度が低いにもかかわらず一体なぜなのか。これは細胞膜の不思議なところだが、物質は精製すればするほど有害になり、細胞は飛びつかなくなる。米も精米すればするほど純度が高まるが、体には悪影響を及ぼしかねない。

どんな成分でも本来の姿から離れ低分子化し、純度を上げすぎると細胞には有害になる可能性もあるため、細胞は吸収を避けようと働くのではないかと神津氏。しかしKリゾレシチンは他の栄養素と掛け合わせ純度を低くしているため、本来のレシチンの在り方に近く細胞が飛びつき吸収が高まるという。

現在の医学、とくに日本の医療現場はとにかく薬漬けで栄養療法を軽視しているが、人間の体、つまり細胞は人口的な合成化学物質や薬ではできていない。それらは対処療法にすぎないことを認識し、効果的かつ効率的に栄養を摂取することの重要性に気づいて欲しいとした。


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