変形膝関節症へのソイポリアの有用性
〜食品開発展2014セミナー

2014年10月8日〜10日、東京ビッグサイトで、食品開発展2014が開催された。食品分野の研究・開発、品質保証、製造技術担当者向けの専門展示会として1990年よりスタートし、今年で25回目を迎えた。同展示会セミナーからコンビ鰍フ機能性成分「ソイポリア」を取り上げる。


20種類以上のポリアミン見つかっている

食用大豆を原料に、加齢に伴い減少する体内の物質ポリアミンをサプリメントとして摂取することを可能にした「ソイポリア」。ポリアミンが高含有で、加齢への遺伝子レベルのアプローチで期待が寄せられている。

ポリアミンとは、第一級アミノ基を2つ以上含む脂肪族炭水化物の総称で、「アミン」を多く含む。ポリアミンにはさまざまな構造の化合物があり、今のところ20種類以上見つかっている。我々の体内ではプトレスシン、スペルミジン、スペルミンといったポリアミンの存在が知られている。

これらのポリアミンはいずれもアルカリ性で、体内ではRNAやDNAといった酸性の核酸と結びつき、遺伝子を安定化させる役割を果たしていることが分かっている。

加齢に伴い体内の合成量が減少

ポリアミンは生体内ではあらゆる細胞に存在しているが、膵臓や前立腺、顎下腺、乳腺などタンパク質合成の盛んな組織に非常に多く存在し、細胞増殖に働きかけていることも分かっている。

また細胞増殖だけでなく、タンパク質合成に必要なRNAを安定化させていることから、タンパク質合成にも深く関与している。しかしポリアミンは成長期など新陳代謝が活発な時期には盛んに体内で合成されるが、加齢に伴い合成量が減少する。

その一方で特にポリアミンを多く含む食事をしている人の生体内では、摂取した食事に含まれるポリアミンを吸収し生体で利用していることも分かっており、ポリアミンを経口摂取することの重要性についてここ数年研究が活発になっているという。

変形性膝関節症、60代から特に女性に多く発症

こうした中、コンビ鰍ナは「ソイポリア」を開発。この素材の特徴は次の4つだという。
@ポリアミン含有量が規格化されている A有効成分が濃縮されており、加工利用もできる B食経験の豊富な大豆(植物)由来でイメージが良い Cこれまでのポリアミンにあった特有の臭いがない。

またこの素材が高齢化と共に多くの人を悩ませる変形性膝関節症にも有用だというデータもとれているという。

変形性膝関節症は、加齢や肥満で膝の関節軟骨がすり減り、骨が変形し、痛みを生じる疾病である。怪我など原因がある二次性関節症と原因不明の一次性関節症とあるが、変形性膝関節症に悩む90%の人が一次性関節症であり、60代から特に女性に多く発症することが分かっている。

膝関節の軟骨は「細胞外マトリックス(主要成分はコラーゲンやエラスチンなど)」と「軟骨細胞」から成り立っている。そして細胞外マトリックスの中に含まれる軟骨細胞が、細胞外マトリックスを形成するのに重要な役割を担っていることが分かっている。

つまり軟骨細胞の増殖が細胞外マトリックスを丈夫にするため、ポリアミンで軟骨細胞を活性させれば細胞外マトリックスも丈夫になるのではないか、という仮説を立て、いくつかの実験を行ったという。この実験はポリアミン研究で有名な自治医大との共同研究である。

ポリアミン摂取ラットの傷が優位に回復

まず、ラット実験で、ポリアミンを連続摂取すると、全身の細胞が活性化することが明らかなデータが取れた。特に肌のターンオーバーや肝細胞の促進は顕著であったという。

そこで大腿骨を損傷させたモデルラットに、損傷後2週間ポリアミン配合の飼料を食べさせた群とコントロール群として通常の飼料を食べさせる群に分けて比較検討を行った。ポリアミン群については濃度を0.01%、0.05 %、0.1%に分類し、コントロール群を含めると4パターンで比較実験を行った。

その結果、ポリアミン濃度0.01%の飼料を食べていたラットの損傷軟骨はコントロール群より若干損傷深度が低下、つまり傷の回復が早いことを示した。さらに、0.05%、そして0.1%とポリアミン濃度が高い飼料を食べているラットのほうが損傷深度はより低下し、ポリアミン0.1%飼料を摂取していたラットについてはコントロールのラットに比べ明らかに優位な傷の回復を見せたという。

変形性膝関節症の軽減に役立てたい

これにより、ラット実験だが、ポリアミンの経口摂取で軟骨再生を促進することができると確認できた。また同様の実験を通常のポリアミンと高濃度のソイポリアで比較実験をしたところ、同じ濃度の飼料を経口吸収させても、優位にソイポリアのほうが損傷深度が低下したことを示したという。

これは血中濃度を比較した時、ソイポリアのほうが吸収率が高いことが関与しているのではないかということ。実際、通常のポリアミンの血中への吸収率は30%くらいだが、ソイポリアだとほぼ100%吸収されるという。

また吸収されたポリアミンは肝臓にまで届き、肝機能を活性させることもラット実験で明らかとなったという。

いずれにせよ軟骨損傷モデルラットにおいては軟骨の再生促進が認められているため、今後そのメカニズムを解明し、多くの人が悩む変形性膝関節症の軽減に役立てたいという。またグルコサミンやコンドロイチンとの相乗効果についても研究したいとした。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.