柑橘のじゃばら、アレルギー緩和作用が期待〜「健康博覧会2016」セミナー

2016年3月16日(水)〜18日(金)、東京ビッグサイトで、「健康博覧会2016」が開催された。 同展示会セミナーより、潟宴=[ルの「じゃばらの花粉症等アレルギーに対する効果」を取り上げる。


花粉症の緩和作用で注目

和歌山県北山村の特産品である柑橘のじゃばらに、花粉症の緩和作用があるのではないかと注目されている。その作用機序や花粉症の現状について大阪薬科大学教授 谷口 雅彦博士が解説を行った。

2008年の調査によると、国民の30%が花粉症に悩まされているといわれる。その後も年々増加傾向にあり、今や花粉症は国民病になりつつある。

花粉症は冬の終わりから春先にかけて起こるイメージが強いが、スギ花粉やヒノキだけでなく、イネ、ブタクサ、ヨモギ、ハンノキなどアレルゲンとなる花粉は一年中飛散しており、年間を通して花粉症に悩まされている人も少なくない。

抗ヒスタミン剤、頭がぼんやりするなどの作用

花粉症はアレルギー疾患の一つである。アレルギー疾患には4つのタイプがあり、花粉症はT型アレルギー(即時性)に分類される。

T型アレルギーは花粉以外に、食物アレルギー、ハウスダスト、化粧品などがアレルゲンとなって引き起こされる。

T型の発症メカニズムは、体に入って来た異物を体外に排出させようとする免疫反応が過剰に起こることにある。

花粉症は、原因である抗原=花粉が体内に侵入し、体内で抗体が作られ、次に同じ抗原が体に入ると、先に作られた抗体に抗原が結合し、細胞(肥満細胞)からアレルギーを引き起こすヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出される。

このヒスタミンが信号となりくしゃみや鼻水等のアレルギー症状を引き起こす。そこで、こうした症状を緩和させるために用いられる医薬品が「抗ヒスタミン剤」である。

しかしこれを使用すると眠くなる、集中力が途切れる、頭がぼんやりするといった副作用が起こるため、薬を使用せずに乗り切ろうとする人も少なくない。

フラボノイドのナリルチンが多く含まれる

じゃばらはさまざまな研究から、花粉症の症状軽減に役立つことが証明されている。しかも副作用もないという。

じゃばらにはフラボノイド成分の「ナリルチン」が非常に多く含まれている。このナリルチンは他の柑橘類にも含くまれているが、じゃばらは、だいだい、ゆず、すだち、温州みかん、グレープフルーツ、伊予柑などと比較してもはるかに多いという。

体内に侵入した花粉などの抗原によりヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出されることで、くしゃみや鼻水、涙目が発症する。

これを脱顆粒現象というが、ナリルチンにはヒスタミンの放出を抑え、脱顆粒現象を抑制する働きを持つことがわかっている。

実際に、臨床試験やモニター試験でもすぐれた結果が報告されている。花粉症に悩む男女143人にじゃばら果皮の粉末360mgを含むカプセルを15日間飲用してもらった。

その結果、約70%の人たちが花粉症の改善を実感したと回答したという(改善されたが18%、やや改善されたが49%)。

この調査で「症状が変わらない」「無回答」だった人の中にはすでに花粉症の薬を服用している人が多く、じゃばら本来の効果がわからないと答えている人も多く見られ、実際の改善率はもう少し高いのではないかという。

アレルギーの6大症状が緩和

この他、岐阜大学医学部の協力で花粉症発症中の15人の男女にじゃばら果汁10mlを2〜4週間毎日飲んでもらい、試験前と後の症状の変化を5段階で評価してもらった。その結果、「水っぱな、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、涙目」の6大症状すべてが緩和したという回答が得られたという。

またじゃばら果汁はT型アレルギー全般に効果を発揮することもわかっており、ダニやカビによるハウスダストなどにも効果的であることが報告されているという。

寒さに強い品種

じゃばらは和歌山県の北山村に自生する、ゆずや温州みかんなどの自然交配でうまれた酸味の強い柑橘類で、もともとは村民の敷地に1本だけしか存在していなかった。

種がほとんどないため、接ぎ木で1本ずつ増やし、30年かけて現在は8,000本が栽培されている。邪気を払うことからじゃばらと名づけられ、地元では正月料理に欠かせない柑橘となっているという。

北山村は和歌山県だが、和歌山県のどの市町村とも隣接していない、全国唯一の飛び地村で、冬季の気温が非常に低くなる山間部に位置している。

じゃばらは寒さに強い品種であるため、北山村で育ったと考えられている。花粉症を中心にT型アレルギーへの治療手段の一つとして今後認知されていくことが期待されるとした。


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