2020年を見据えたスポーツマーケット〜ウエルネスフードジャパン「第5回スポーツフードEXPO」

2016年8月2日〜4日、東京ビックサイトで、ウエルネスフードジャパン「第5回スポーツフードEXPO」が開催された。同展示会セミナーより、協和発酵バイオ鰍フ「2020年を見据えたスポーツマーケットとスポーツサプリメントの最新エビデンス」を取り上げる。


今後さらにスポーツサプリメント市場が拡大

東京オリンピックに向けてスポーツ人口が増えている。同時に、スポーツサプリメントの市場も拡大しており、おそらく2020年まで堅調に拡大するものと予測されている。

また、2021年にアジア初開催が予定されている競技マスターズではシニア層の参加も期待できるため、スポーツサプリメントの需要の伸びが予測される。

さらに、2022年にはサッカーワールドカップ、2023年の女子サッカーワールドカップは、日本がまだ最終候補として残っている。

スポーツ人口が増え、スポーツサプリメントの市場が拡大したのは2011年頃からで、その年と2015年を比較しても130%伸びている。

摂取目的は「疲労回復」「持久力向上」

協和発酵バイオで行ったネットアンケートによると(日常的に運動しサプリメントを摂取している20〜50代の男女800人対象)、スポーツサプリメントの購入は通販で伸張しており、とくにプロテインとアミノ酸系が伸びているという。

同アンケートでスポーツサプリメントを摂取する際の悩みについては、「どのタイミングに飲んでいいのかわからない」が最も多く、摂取する目的では「疲労回復」「持久力向上」が多かった。

またサプリメントを選ぶ方法として「成分含有量」「価格」と回答していて、中身や表示をしっかり見ていることもわかり、すでにサプリメントを摂取している人の意識の高さが浮彫になったという。

指導者の栄養摂取サポートを望む声

この他、ランナーに絞ったアンケートでは、膝腰の痛みを軽減するサプリメントのニーズが高かった。しかし、現在市場に出ている膝腰対策は高齢者向けの商品ばかりでアスリート向けはない。

スポーツサプリメント全般にいえることで、コーチやインストラクターといった指導者に成分ごとに摂取タイミングをアドバイスして欲しいというニーズがあることもわかった。

コーチやインストラクターが栄養摂取サポートの指導までできれば理想的だが、そうでない場合も多い。メーカーなども商品説明や適切な摂取方法を具体的にアドバイスできるチャンネルや機会を増やすことがスポーツサプリメントの市場拡大に貢献しそうだという。

アメリカ市場は3000億円超え

協和発酵バイオは原料メーカーとして「最適な摂取シーン」という見地からさまざまなスポーツニュートリションの研究を行っているという。海外、特にアメリカと比較すると、日本のスポーツサプリメント市場は300億円ほどだが、アメリカは10倍以上の3000億円を超えている。

販売方法としてはやはりシーンごとかつ素材ごとに棚に分類するという方法が主流。

シーンというのは「運動前」「運動中」「運動後」そして「運動の種類」であり、「疲労予防/持久力」といった日本のスポーツシーンでもキーワードとなる場面から考慮すると、主に「運動前=プレワークアウト」というジャンルになる。

日本ではまだ「プレワークアウト」の発想があまりないため、これから原料メーカーとしても最も啓蒙していきたいという。ちなみに日本で今一番ニーズがあるのが「運動中=イントラワークアウト」でアミノ酸系ドリンクなどはここに分類される。

プレワークアウトに適した素材

また「運動後=ポストワークアウト」は筋肉増強系のプロテインなどがスポーツクラブなどで売れている。そのため新しい発想としてやはり「プレワークアウト」に注目して欲しいという。プレワークアウトに適した素材としてはシトルリン、アルギニン、HMBがある。

シトルリンは遊離アミノ酸の一種で、スイカやゴーヤなどに多く含まれ、私たちの体内にも元々含まれている成分である。体内に取り込まれるとNO(一酸化窒素)を産生し、血流を促進するため、運動パフォーマンスの向上効果が期待される。

実際シトルリン摂取群のほうが4km走破時間が有意に短縮するといったデータもある。アルギニンも同じくNOを産生し血流を促進させるが、アルギニンは単体で摂取するよりシトルリンとの相乗効果が期待できるため、組み合わせたサプリメントが効果的だ。

アルギニン+シトルリンでスポーツ時の集中力アップ、酸素利用効率の向上、糖消費UP、ミトコンドリア活性化などが期待できるという。

シーン別にスポーツサプリメントを提案

HMBはロイシンから体内で合成される成分であり、筋タンパク質の合成促進・分解抑制に作用することが知られている成分である。アメリカではスポーツサプリメント、特に筋疲労を抑制し筋肥大に働きかけるプレワークアウトサプリメントとしてすでに人気が高い。

近年は加齢による筋肉の脆弱状態であるサルコペニアを予防するサルコペニア対策サプリメントとして人気を博している。

日本では2010年から食品として使用可能となった比較的新しい素材だが、日本も高齢者が増えサルコペニア対策が求められている。HMBには免疫の強化作用もあるのではないかという期待が寄せられているという。

フルマラソンなどハードな競技の後や合宿の後に選手は免疫が低下し風邪を引くなど体調を崩しやすいが、HBMの摂取によりウイルス感染症を有意に予防するというデータもある。

いずれにせよシーン別にスポーツサプリメントを提案することで右肩上がりの市場が更に拡大する可能性が高いと話した。


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