PQQ、脳機能改善など高齢化社会にニーズ
〜食品開発展2016セミナー


2016年10月5日〜7日、東京ビッグサイトで、食品開発展2016が開催された。同展示会セミナーより三菱ガス化学潟oイオテクノロジー研究開発センターの「PQQの認識改善機能と機能性表示の取り組み」を取り上げる。


脳機能改善やミトコンドリア新生

PQQという成分は日本ではまだそれほど知名度が高くないが、サプリメント大国のアメリカではかなり売れている成分の1つであるという。

PQQとはピロロキノリンキノンという成分の事で、脱水素酵素の補酵素として微生物から発見されたものである。現在サプリメント成分として使用されているのはPQQの水溶性塩で「bioPPQ」とも呼ばれる。

アメリカでPQQを販売する際のヘルスクレームは「脳機能改善やミトコンドリア新生」で、高齢化社会のニーズに十分応じた成分として知名度も十分あるという。

14番目のビタミンになる可能性

このPQQは実は日本でも2003年に話題になったことがある。理化学研究所が「PQQの生体機能の重要性」をネイチャー誌に発表し、PQQが14番目のビタミンになる可能性もある、とマスコミが大々的に報じたからだ。

このPQQがビタミンかどうかは現時点ではまだ結論が出ていないが、私たちの生体にとって重要な成分であることに間違いがないことはわかっているという。

実際に、この成分をサプリメントとして摂取することでの「体感」も多い。アメリカではPQQの含まれた商品はリピーターが多く、評判が良いため、サプリメントの品評会やコンテストでも多数の賞を受賞しているという。

母乳に豊富に含まれる

このPQQに関する研究は日本では理研だけでなく東大、名古屋大、長崎大、立教大、岐阜薬科大、東工大、東北大、近畿大、北大、琉球大などのトップの研究者たちがあらゆる角度から研究を続けている。

また、海外でもハーバード大、カルフォルニア大、コロラド大、などが研究を行っている。

なぜこうした研究者がPQQの研究に夢中になるのか。

それはPQQが微量ではありながらも、にんじん、セロリ、ピーマン、ほうれん草、納豆、緑茶といった身近な食材の多くに存在してるだけでなく、とりわけ母乳に豊富に含まれることが分かっており、肉体の発達や成長に欠かせない成分であると考えられているからだという。

PQQの主要な機能は「脳機能向上」「細胞活性作用」「抗酸化作用」の3つに分類できる。その有効性が認められた事例として「認識能力や判断能力の向上」「神経細胞死抑制」「ミトコンドリア活性」「コレステロール低下」「白内障予防」「心筋梗塞の防止」「皮膚の改善」「関節炎防止」など多岐にわたる。

日本では機能性表示がトレンドだが、新たな「ブレインフード素材」としてPQQが広まる可能性が十分にあるという。

コエンザイムQ10と相乗効果

「ブレインフード素材」としてどのような知見があるのか。

例えば、識別判断能力を調査する「ストループテスト」や「タッチパネルテスト」では、ともに50代以上の健康な男女に12週間、1日20mgのPQQを摂取してもらったところと、摂取前に比べ認知力の改善が見られたという。

特に記憶力の低い人の方がその有効性が顕著で、すでに悩みはじめている人にも十分アプローチできる可能性がある。他にも同じく1日20mgを12週間摂取で、睡眠の改善や気分の向上などが報告されている。

また、PQQは水溶性だが、脂溶性のコエンザイムQ10との相性も良く、相乗効果が見られるため、他の成分との相乗効果を探求することが期待されているという。

米国FDAもお墨付き

なぜPQQは脳に効果的なのか。それはPQQに「神経成長因子を大量の分泌させる」「非常に強い抗酸化力を持ち、神経を保護する」「細胞増殖を促進させる」「ミドコンドリアを増やす」「血糖値を抑制するため脳機能を保護する」「脳は脂質が50%を占めるが、脂質の酸化を抑える」といった作用が認められているからだ、という。

有効性の得られる摂取目安量は1日20mgで、これは1円玉1/50ほどの重さだが、これを食品から摂ると、納豆換算でバスタブ2杯分(500kg)になるという。

PQQは日本の厚労省だけでなくアメリカのFDA(食品医薬品局)なども認めている。機能性表示食品としても十分市場で戦える魅力的な成分であろう、とまとめた。


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