機能性表示食品届け出における不備指摘事例〜第36回「健康博覧会」セミナー

2018年1月31日(水)〜2月2日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて第36回「健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、 機能性表示食品検定協会の講演「機能性表示食品届け出における不備指摘事例」を取り上げる。


トクホ市場以上の成長

株式会社RCTジャパンは、もともと薬事法のコンサル業務を行っていた。

2年前に機能性表示食品制度がスタートしたことで、機能性表示の届け出に関するコンサル業務が急増し、現在は受注案件の8〜9割が機能性関連を占め、海外の原料メーカーからの問い合わせも増えているという。

この2年間、機能性表示食品制度は予想以上に活気のあるものに成長しており、受理された商品はすでに1200アイテムを突破、トクホ市場以上の成長を見せているという。

ただ、受理に関しては決してスムーズとはいえず、各企業がどんなに慎重に申請を行っても、一回の差し戻しは必ずあり、最短でも届け出から受理までに5か月、長いと2年以上かかるのが現状という。

機能性表示で売り上げが伸びる

機能性表示食品に関する最近のトップニュースというと、「葛の花由来イソフラボン」を含む商品のダイエットに関する表記で、行政より改善命令と課徴金が課せられた。

1月19日、消費者庁は9社に課徴金の支払い命じ、金額も公表されたが、驚くべきは「ヘラスリム」という商品に対して4893万円の支払いを命じていること。

課徴金は売り上げの3%であるため、「ヘラスリム」はそれだけ売れていたということで、課徴金よりもその売り上げに注目が集まっている。つまり、機能性表示食品にすると売り上げが伸びる、ということでもある。

生鮮食品の表示受理に期待

また、生鮮食品のカテゴリーでは、もやしとみかんだけで伸び悩んでいたところに、マルハニチロの「カンパチ(鮮魚)」が受理された。

生鮮食品は関与成分の定量化が非常に難しい。このカンパチは養殖のものだが、こうした生鮮食品の表示受理に期待がかかる。

今後も届け出は各企業によって活発に行われることが予測されるが、この2年で不備指摘を受けるケースがマニュアル化できるようになってきた。

その事例としては次のようなことである。

商品名に「スリム」や「ダイエット」が入っているとNG。

そのため富士フィルムはもともと販売していた「メタバリアスリム」を「メタバリアS」に名称変更し受理を獲得した。

「わくわく元気」「ひらめきイチョウ」など、不必要な健康増進を想起させる商品名もNG。

不必要な健康増進表記として「免疫力アップ」「スリム」「バストアップ」「バストのハリ」「肌(ハリ、シワ、美白)」「育毛、増毛、美毛」「滋養強壮」「勃起」「血管を柔軟にする、サラサラにする」などが含まれている。

画期的なOK文言に「抗酸化」がある。サントリーの「セサミン」富士フィルムの「アスタキサンチン」が受理された。

血流は難しいとされていたが「脳の血流改善」は受理された。

味の素「カプシノイド」が「基礎代謝の向上」で受理された。

リフレ「赤ぶどう葉由来ポリフェノール」が「夕方の脚のむくみ改善」で受理されたが、臨床試験の被験者が病者でないことの説明を入れた。

頻尿は前立腺の病者扱いになるため現在のところNG。他にも、更年期障害(ホットフラッシュ、ほてり、イライラ)も病者扱いでNGとなっている。

一般食品も機能性表示で恩恵

このように、各企業がトライ&エラーを繰り返し、機能性表示が受理されるよう臨んでいる。

脂質はNGとされているが、2年かけてリン脂質の「ホスファチジルセリン」が受理されたことも業界ではニュースとなっており、「ナットウキナーゼ」の受理も可能性が見込めるとされている。

機能性表示にしたことで、コエンザイムQ10やギャバなどの体感しやすい素材はリピーターが増えて売り上げを伸ばしている。

また、野菜ジュースなども付加価値がある機能性表示の商品が伸びている。

他にも、原料メーカーだけでなく吉野家などの外食チェーンやマルハニチロ、江崎グリコなどの食品メーカーが特にこの制度の恩恵を受けている。

今年もまだまだ機能性表示食品が成長しそうだと展望をまとめた。


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