血栓溶解から胃がんリスク低下まで、
納豆の機能性最新報告


11月5日、有楽町朝日スクエア(東京都千代田区)で、第一回「納豆健康学セミナー」(主催:全国納豆協同組合連合会)が開催された。機能性食品として世界から高い評価を得ている納豆の新たな効果・効能の発表の場として設けられたもので、納豆研究の第一人者として知られる須見洋行教授(倉敷芸術科学大学)らが、最新の研究成果を発表した。

納豆の高摂取、胃がん死亡のリスク低下に関連

パーフェクトフードとして世界でも認知され、その機能性に注目が集まっている納豆だが、当日は、永田知里助教授(岐阜大学医学部)、須見洋行教授(倉敷芸術科学大学)、細井知弘研究員(東京都立食品技術センター)、寺田 厚教授(日本獣医畜産大学)が、納豆の機能性に関する最新の研究成果を発表した。

永田助教授は、「一般集団における納豆摂取と胃がん死亡との関連」と題したテーマで発表。研究では、岐阜県高山市に住む35歳以上の男性13,880名、女性16,424名(がんや胃切除の既往があると回答した者を除く)を対象に、1992年から1999年末までの納豆や大豆製品(豆腐、味噌汁、ほうば味噌、高野豆腐、油揚げ、がんもどき、豆乳、枝豆、大豆)の摂取と胃がん死亡との関連を分析した。

結果、男性の納豆の高摂取群での胃がん死亡の相対危険度は0.7で、統計学的に有意でないものの低い相対危険度を示したという。また、女性の納豆の高摂取群の相対危険度は0.6で、男性と同様の傾向を示したことがわかったという。他に、納豆以外の総大豆製品摂取でも、男性、女性とも高摂取群の胃がん死亡の相対危険度は統計学的にも有意に低いことが認められたという。

また、須見教授は「納豆の機能性、特に血栓溶解・骨租軽症予防成分について」と題して講演。「納豆に含まれる血栓溶解酵素ナットウキナーゼは世界で唯一の食品由来の血栓予防剤」とし、納豆に血流の詰まりを改善する作用があることを報告。長時間飛行機で旅行をする際に起きるロングフライト(エコノミークラス)症候群と呼ばれる血栓症についても有効であることを発表した。また納豆に含まれるK2(メナキノンー7)が骨粗しょう症予防に役立つことを報告した。

また、細井氏は「Probioticとしての納豆菌の作用」と題して、これまでの研究成果を発表。納豆に含まれる納豆菌および枯草菌生菌の経口摂取で乳酸菌の増加等の腸内菌叢への好影響が数多く報告されているとした。

寺田教授は、「ヒト腸内細菌フローラおよび腐敗産物に及ばす影響」について講演し、納豆のラットの腸内フローラに及ぼす影響に関しては、議論のあるものの、今回ヒトを対象にした実験で、「納豆摂取によるビフィズス菌群の著しい増加と、レシチナーゼ産生性嫌気性菌群の量および検出頻度の減少が観察された」とした。また、納豆摂取により腸内フローラの構成やそれらの代謝産物が改善され、便の脱臭効果に役立つとした。


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