コーンセラミド、機能性表示食品に受理
〜食品開発展2021セミナー


2021年10月6日(水)〜8日(金)、東京ビッグサイトにおいて「食品開発展2021」が開催された。同展示会セミナーより、辻製油鰍フ講演「機能性食品素材としてのコーンセラミド」を取り上げる。


セラミド、40代以降から顕著に減少

セラミドとは人間の肌のいちばん外側にある角質層の細胞間脂質の約50%を構成する、肌の主要な成分である。

セラミドはスフィンゴ脂質と呼ばれる極性物質で、細胞膜の構成成分として生物界に広く存在している。

ヒトにとってのセラミドは肌の天然の保湿因子の役割やバリア機能の役割を果たしており、アレルゲン(抗原)の侵入予防などにも不可欠である。

加齢によって減少することがわかっており、特に40代以降からの減少が顕著であることがよく知られている。

セラミドが失われるとドライスキン、シワ・たるみ、肌荒れといった肌老化の原因にもなる。そのため、特に40代以降からは健やかな肌の維持のためにもセラミドの減少を防ぐことが大切となる。

高品質・低価格、安全性の高い食品由来セラミド

辻製油ではセラミドをとうもろこしから開発することに成功したという。

これまでセラミドといえば高価なものとされ、合成セラミドも開発されているが、合成セラミドは食用には使用できず化粧品にしか使えないというデメリットがあった。

これらのデメリットを解消するため、辻製油ではとうもろこし胚芽を原料にすることで、高品質・低価格で安全性の高い食品由来のセラミドの開発を行った。

他にも、この技術を応用することで辻製油は「米由来」「大豆由来」のセラミドを提供することが可能となった。原料を3種類にすることで、アレルギー表示やGMOのニーズに応えたいという。

水に透明な状態で溶けるセラミド

コーン由来セラミド(他の植物由来セラミド含む)は、グルコシルセラミド含有量95%以上の高純度セラミドである。

セラミドが高含有なだけでなく、遊離脂肪酸を含まない、色素・匂いもほとんどない、食用にも活用でき、工業生産にも対応しているという特徴を持つ。

そもそもグルコシルセラミドは水や油に溶けないという最大のデメリットがある。



そのため、とうもろこし胚芽から高純度のセラミドの抽出だけでなく、辻製油の得意とする「機能性レシチン(大豆レシチン)」の技術により、セラミド含有量が高く、水に透明な状態で溶ける「コーン胚芽由来セラミド」ができた。

安定性(耐熱性・耐酸性・耐塩性)も良好

レシチンはリン脂質を主体とする混合物で、国内では乳化剤として加工食品や化粧品に使用され、食品では食品添加物としてよく知られる。

天然由来と合成ものとあるが、植物性由来のレシチンには大豆、なたね、ひまわり、動物由来のレシチンには卵黄がある。

辻製油はそれぞれの原料から高純度の粉末レシチンの製造の工業化を成功させ「機能性レシチン」の製造を手掛けている。

この製造技術をセラミドにも活かし、これまで水や油に溶けなかったセラミドを、水だけでなくクエン酸水や食塩水(スポーツ飲料などを想定)にも溶け、安定性(耐熱性・耐酸性・耐塩性)も良好なセラミド素材とした。

これにより美容食品素材や打錠用の粉末製剤、油溶性カプセルとして、また植物性セラミドを食用や化粧品用として安定的に利用することが可能となった。コーン由来セラミドは機能性表示食品にも受理されている。

食品素材として様々な応用が可能

辻製油から来月発売する「美柑生活」というドリンク。機能性表示は「本品にはグルコシルセラミドが含まれます。グルコシルセラミドは肌の水分を逃しにくくし、肌を乾燥から守る機能(バリア機能)を維持することが報告されています」というもので、「肌の弾力」を訴求する。

本製品では1本のドリンク(100ml)から1200μgのグルコシルセラミドが摂取できるように設計されているという。

コーンセラミドを含む植物性セラミドはこれからも食品素材として様々な応用が可能で、今後ますます需要拡大が見込まれるためぜひ注目してほしいと話した。


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