対談 " がん対策、免疫をいかに高めるかが最大のカギ"

         〜期待される免疫と粒子線ピンポイント療法、がん対策最前線を語る。

  医療法人直心会 帯津三敬病院名誉院長 帯津 良一 氏
浜松医科大学 腫瘍病理学 遠藤 雄三 氏

2015年に団塊の世代が65歳以上になり、今後日本人の3人に1人が高齢者になるという超高齢化時代が到来した。高齢者の人口増とともに、がん罹患の増加も懸念されている。
2人に1人ががんで亡くなるといわれる時代、がん対策のカギとなるのは何か。
帯津 良一 氏(医療法人直心会 帯津三敬病院名誉院長)と遠藤 雄三 氏(浜松医科大学腫瘍病理学)にがん対策について伺った。

事務局:現在のがん治療の状況や免疫を高める処方についてお聞かせください


遠藤:抗がん剤を使っていた頃、非常に空しい思いでいた
帯津:副作用がなくて免疫力を支えるようなもので処方した

遠藤:私は虎の門病院で700例以上病理解剖をしましたが、その八割以上はがん患者でした。抗がん剤治療をしていたにもかかわらずでした。抗がん剤に対して非常に空しい思いでいました。

1971年4月より東大から虎の門病院に移りまして、2000年頃まで病理部門と免疫検査部門で仕事をしました。患者さんを病理解剖してみるとがんで亡くなっているのではなく、ほとんどが感染症や栄養失調で亡くなっているということが分かりました。

その頃からすでに抗がん剤の功罪が問われていましたが、自分としても本当に抗がん剤が効いているのかどうか疑問を抱き始めていました。

虎の門病院にいた頃は、丸山ワクチンや免疫賦活剤などBRMにも関心がありました。その後、たまたま大和薬品さんと関わるようになって、バイオブランの実験を行うようになりました。

それは、カナダマクマスター大学医学部分子医学部門粘膜免疫研、ストレス研の客員教授をしていた時期に当ります。私の研究主テーマであります粘膜免疫と腎臓病研究に加えて、バイオブランを用いた動物実験をかなりの規模で行いました。

おそらくバイオブランそのものががんに効くということではなく、免疫調整でがんに効いているのではないかと考えました。バイオブランの抗炎症作用、抗アレルギー作用の動物実験データからがん細胞増殖抑制つまり抗がん効果の選択肢が出てきたと感じました。

帯津:その当時、抗がん剤が散発銃のように使われていましたが、それがだんだんシスティマティックになってくると、国立ガンセンターやガン研から患者さんが私の所にたくさん来院するようになりました。

患者さんの中で、紹介状を持ってくる人はほとんどいませんでしたから、私は副作用がなく、免疫力を支えるような漢方を処方していました。

いくつかのサプリメントも試しましたが、アラビノキシラン(バイオブラン)を紹介されてからは、ずっとアラビノキシラン(バイオブラン)を使っています。副作用的なことが和らいだり、白血球や血小板の減少が抑えられました。

患者さんも喜んでいいですねとおっしゃっていますし、私もこれでいいと思っています。

帯津:人間の尊厳を引き裂くような治療法はやらないほうがいい
遠藤:抗がん剤は、特に免疫系の細胞をダメにする

今、抗がん剤を使う人がだんだん減ってきています。結論から先にいうと、医療というのは、治したり癒したりというのは一つのテクニックであって、本来の医療というのは、生涯を通じてその人の人間的な尊厳を保ち、全うするのをサポートすることではないかと思っています。

人間の尊厳をズタズタに引き裂くような治療法はやらないほうがいいです。抗がん剤しかりで、これはすたれていかなきゃいけない治療法だと思っています。

今でもよく覚えていますが、八王子の高等学校の先生で生徒さんに慕われている患者さんがいました。胆管がんで抗がん剤を使っていましたが、私の所に漢方薬でやって欲しいといって来られました。

すでに、抗がん剤で、髪の毛が抜け、げっそりしていて、それまで自信を持って人生観を説いていた人でしたが、へなへなになって、同じ亡くなるにしてもやはり抗がん剤の罪は大きいと感じました。

ですから、抗がん剤はなるべく緊急避難的に用いるべきだと思います。抗がん剤だけで治る人もいますが、やはり将来はすたれていかなきゃいけないと思っています。

こういうことをいうと腫瘍内科の先生方に怒られるかも知れませんが、外科にしても同じだと思っています。500年くらい後の医療関係の人に、昔は身体を切り刻むような、ずいぶん乱暴なことをやったものだといわれるかも知れません。

亡くなられましたが、世界的に有名なテナーサックス奏者の方が、私が駒込にいた頃、食道がんで手術をしました。集中治療室(ICU)に入り、2日,3日してだんだん元気が出てくると、先生ひどい手術だね、何カ所も切られて、先生が食道がんだったらこれやる?、といっていました。

その頃私は40代でしたから、その時に一番良い治療法はなんでもやりますよといいましたが、彼は笑ってそうかなといっていました。彼がICUに行く時に、まだ夢見心地の時に傷の大きいのが3つもあって、ほんとに嫌になったと思います。

ですから、外科もすたれなきゃいけないと思っています。これから西洋医学で残るのは、免疫と放射線のピンポイント療法です。この二つがこれから大いに成長していくと思います。

遠藤:私も病理解剖をやっていた時、白血病にしても化学療法でカビだらけになってみんな亡くなっていきました。

がんの患者さんも、痩せ細って、黄疸がでたり、そういうのを見ていると、こんな治療法がほんとにいいのか、抗がん剤の治療はよっぽど考えないといけないと思いました。

白血病の場合、骨髄移植以外、細胞の回転の速いものはDNAを破壊する抗がん剤が必要です。しかし、胃がんや乳がん、大腸がん、前立腺がんは細胞の回転が遅いです。

こうしたがんに抗がん剤を使うと他の生理的な細胞が全部ダメになります。特に免疫系の細胞や毛根細胞がダメになっていきます。

こうした免疫の部分で、帯津先生は漢方や気功を、どのように患者さんに使いわけていらっしゃいますか。


帯津:一番の土台は心。どういう心で難局を乗りきるか、患者さんと戦略会議を

遠藤:免疫バランスを整えることで間接的にがんをやっつける

帯津:川越の病院は外来と入院とがあって、他の病院から直に患者さんが来院することがあります。そうした患者さんに、私は毎朝8時15分に行き、これからどうやっていくか、二人で戦略会議をします。

西洋医学ですと、手術と放射線と抗がん剤ですが、私のところは抗がん剤が嫌いな患者さんが多いので西洋医学の対象になることはあまりないです。

代替療法はたくさんあって、患者さんも私も全てを知っているわけではありませんので、折り合いをつけながら、まずこの病気をどうやって乗り越えていくかという治療計画を立てます。

家を建てる時と同じで、一番の土台は心です。どういう心でこの難局を乗りきるか、そうしたことを話し合います。

とにかくがんを握りつぶすということでもいい、あるいは折り合いをつけて共存していくということでもいい、どちらにしても心が基本になります。

どういう心の状態がいいかというと、まずときめくこと、そして大いに喜ぶことです。これが免疫や自然治癒力を高めるのにいいということを、私は経験的に感じています。

ですから、なんでもいいからときめいてくださいと患者さんにいいます。そうすると、分かっていますという方が半分、中には、余命6カ月といわれていて、ときめくことができますかという人もいます。

それでも、例えば食欲があって、あれ食べたいというものがあればときめきます。どんな時でも、初々しい心を持っていればときめくものです。

私でしたら、晩酌でときめきます。恋愛でもときめきます。原稿を書く時の締め切りでもときめきます。それから、太極拳です。私は病院には毎朝3時半頃出勤し、少し仕事をして、朝5時に病院の道場で太極拳をします。

疲れていてもいなくてもこの太極拳が楽しみで、誰かと一緒にやるのではなく、一人でマイペースでやります。道場では15種類くらいの気功もやっています。

そうした心の問題。それから食事です。玄米菜食とかゲルソンとかいろいろありますが、これはという傑出した王道のようなものはありません。ですから自分で食に対する理念を築くことが大切です。

こうしたことで患者さんの心の養生をやり、その後、西洋医学で手術ができるか、抗がん剤はどうか、放射線はかけられるかをみます。

再発を繰り返している人はたいていのものをやっていますが、じゃあ漢方は、針灸は、サプリメントはどうかといろいろやってみます。

サプリメントも、昔は手当たり次第使っていた人が多かったですが、今の人は、自分で選択して、せいぜい2つか3つくらいしか使っていません。

使っているサプリメントが多いと、先生整理してくださいといわれますので、作用別に、これは免疫を高める、これは抗酸化作用、これはアポトーシス、といったふうに分けています。アラビノキシラン(バイオブラン)についてもちゃんと知っている人もいて、患者さんからいってきます。

そうしたことでサプリメントについても患者さんたちは成長しているなと思います。ですから作るほうも彼らの期待に沿うようにやっていかないといけません。

遠藤:私が虎の門病院を辞める頃、2000年前後に、サメの軟骨で兵糧攻めだとかβ−グルカンとかいろいろありました。

たまたまバイオブランと関わって、カナダで動物実験をやっているうちに基本的にはがんに効くというより免疫の調整ではないかというデータがだんだん出てきて、免疫バランスを整えることで間接的にがんをやっつけているのではないかと思うようになりました。

1番の決め手は、免疫のバランスをどう整えているのかということですが、結局、身体の仕組みは微小環境だと思っています。

それに血管とかリンパ管とか細胞が常に関わっていて、そこにがん細胞がいた時にどうなるかということです。がん細胞をやっつけるかどうかわかりませんが、どういうふうにこれが関わっているのかということです。

帯津:手術で大がかりなことをしなくても、ピンポイントで治療すればいい
遠藤:身体は神経系と免疫系とホルモン系が一体になっている

帯津:スターリングの法則というのがありましたね。

遠藤:そうです。末梢循環の動脈系の毛細血管から静脈系でいろんな物質代謝が起きるといった話です。 基本的に、がんと血液細胞の闘いですが、血液細胞そのものが本当の意味で自然治癒力の主力部隊ではないかと思います。

私がいたカナダのマクマスター大学の免疫のグループの研究でネズミにアレルギーを起こさせる実験をしたことがあります。

ネズミに、アレルゲンを打って、バッと光を当てます。それを10回くらい行うと、光を当てただけでもアレルギーを起こすようになります。ネイチャーに載った論文ですが、何か条件付けをすると、身体が反応する、つまり身体は神経系と免疫系とホルモン系が一体になっているということです。

ですから帯津先生がおっしゃるように、音楽を聴くとモチベーションが上がるとか、そうしたときめきというものがかなり細胞と関わっていると思います。

帯津:抗がん剤を使うにしても、やはり音楽であったり、色彩であったり、好きな人が傍にいるとか、そうした場を整えることが大切です。ただ、日本の医療ではあまりそうしたことをしません。アメリカでやっている人もいますが、日本の医療にはそうしたことが欠けています。

私の大先輩で、町田で内科の開業医をしている方がいました。この方は私より一回り上で、太極拳が大好きで、漢方も一生懸命やっていました。

その方が前立腺がんになって、PSAがだんだん上がってきて、泌尿科にいったら、放射線がいいといわれました。

漢方では考えられることは全てやった、他に手はないかということで私のところに電話がありました。それで、アラビノキシラン(バイオブラン)を1カ月分送りましたが、飲んだら元気が出てきたということでした。

それから3カ月もするとPSAも下がり、放射線もやらないことになりました。その方は90幾つで亡くなっています。

他にも、ある胃ガンの患者さんで抗がん剤を終えて、しばらくしたらウィルヒョウのリンパ節に転移したりマーカーが上がったりして、もう二度と抗がん剤をやりたくないというので、漢方薬や気功、他にもやりたいことがあればということでいろいろやりました。

その患者さんは、顔も青白く、髪の毛も抜け、人間の尊厳がズタズタにされたような状態でしたが、蓮見先生のところで樹状細胞療法をうけると、マーカーも正常値に戻り、どんどん元気になって、髪の毛も生えてきました。

それから10年程経ちますが、先日、蓮見先生の講演会でホテルニューオータニに呼ばれていった時に、その方が一番前の席で、ニコニコしていました。

そうしたこともありますから、やはり私は一番免疫に期待しています。それと、もう一つが放射線のピンポイント療法です。手術で大がかりなことをしなくても、ピンポイントで治療すればいいと思っています。

帯津:ホリスティック医学をやるうえで、免疫が一番の有望株
遠藤:純粋なものでなく、免疫系全体を賦活させるものがいい

遠藤:話題を少し変えさせて頂きますが、脳梗塞で昔は安静がいいといっていましたが、私の友人の病院では、発作を起こしたらすぐに口の中をリハビリして、まずベロを動かせるようにするということです。

寿司が食べたいというのが日本人の最大の欲求らしいですが、口が動かせるようになると、1週間後には刺身が食べられるから頑張ろうという気持ちが患者さんに起きるということです。やはり、なにかときめくものがないと身体も動かないということですね。

今、がんの進行や転移を防ぐ方法が今いろいろ工夫されていて、大和薬品さんのNKCPが転移を防ぐという実験データもありますが、そうしたことについて帯津先生は何か戦略的なお考えはありますか。

帯津:転移について、何か一つの手だてがあるわけではありませんが、私もNKCPは10年飲んでいます。がんの転移とは直接の関係はありませんが、ある高名な先生が脳梗塞で倒れられたことを知り、私自身もともと症状があるわけではありませんが、講演の機会がたくさんあり、しゃべれなくなるのは拙いので脳梗塞の予防をするために飲んでいます。

遠藤: NKCPは肩凝りにもかなり良いらしいです。動物実験や臨床試験の論文も発表されています。スターリングの法則では、微小環境の出来事は身体の出来事でもありますから、転移の場合も、バイオブランの免疫調整というところに焦点が絞られるようです。

帯津:免疫を抑える因子を阻害する、免疫チェックポイント分子阻害剤というものがあります。これをアメリカや日本の京都や大阪の先生たちが一生懸命研究していて、今後大いに期待できそうです。

遠藤:それともう一つはT細胞の中でも制御性のT細胞、例えばマクロファージ(樹状細胞やランゲルハンス細胞)など、がん細胞に味方するリンパ球もあって、そうしたものをどうすればいいかです。あとは、腫瘍細胞のガンペプチドに対するワクチン療法というのもあります。

帯津:ワクチンは患者さんが希望すれば、やってみなさいということで、紹介状の必要のない所はそのままやってもらっています。

遠藤:ワクチンのように抽出した、純粋なものでなく、アバウトで研ぎ澄まされていない、バイオブランのように、おおざっぱだけど免疫系全体を賦活させるものがいいのではないかと私は考えています。一昨年の国際バイオブランワークショップでは「おみこしわっしょい」方式と提案しました。

帯津:ホリスティック医学をやるうえで、免疫が一番の有望株です。これがどんどん進歩していって欲しい。それから粒子線のピンポイント、これも腕をもっと上げていただきたい。この2つがこれからの西洋医学のエースです。これを代替療法と一緒にやる、これが一番いいと思います。

2016年2月24日
医療法人財団 帯津三敬会 帯津三敬塾クリニックにて



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