「食」関連トピックス
メタボリックシンドロームと自然免疫
〜「免疫ふしぎ未来2012」

2012年8月19日(日)、日本科学未来館で、「免疫ふしぎ未来2012」が開催された。この中から、「メタボリックシンドロームと自然免疫の関係」についてのトークショーを報告する。


肥満化した脂肪細胞、血管新生の増加などさまざまな悪さをする

東京医科歯科大学 小川 佳宏氏は「メタボと自然免疫」と題して、次のように報告した。
肥満とは見た目が大きいだけではなく、体脂肪量が体重に対して過剰に蓄積した状態であると小川氏。肥満は男性に多い内臓脂肪型(リンゴ型)と女性に多い皮下脂肪型(洋ナシ型)の大きく2つに分類される。

メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満のことを指しており、高血圧、高脂血症、糖尿病のリスクを高め、これらは動脈硬化を引き起こし、さらには動脈硬化に起因する「心血管系疾患(脳卒中や心筋梗塞)」のリスクを高めることから、注意が呼びかけられている。

肥満化した脂肪細胞とは、単に脂肪細胞のサイズが大きくなるだけでなくさまざまな悪さをすることが近年明らかになっているという。例えば「血管新生の増加」、「マクロファージの増加」、「炎症性アディポサイトカインの増加」などである。

異所性脂肪という、「第三の脂肪」

摂取した食べ物のエネルギーが余った場合、そのエネルギーは脂肪細胞に保存される。脂肪細胞は伸縮自在で、脂肪細胞が大きくなると外見も大きく膨らむ。これがいわゆる肥満化である。

しかし、その伸縮にも限界があり、皮下脂肪や内臓脂肪としても蓄えられない余計なエネルギーは体内に無理やり場所をとり蓄積しようとする。これは皮下脂肪でも内臓脂肪でもない「異所性脂肪」というもので、別名「第三の脂肪」とも呼ばれ、いま非常に注目されているという。

マクロファージ、肥満化した細胞内ではマイナスに働く

この「異所性脂肪」は脳以外の臓器ではむき出しのまま付着し、臓器に悪い影響を与える。たとえば「異所性脂肪」が膵臓に付着すると、脂肪があるメカニズムで毒を出し、その結果膵臓の細胞を破壊、そしてインスリンが作られなくなり糖尿病を引き起こされる。

脂肪細胞のサイズが大きくなると、マクロファージが増大する。このマクロファージ、つまり自然免疫として通常は体内で良い働きをするはずの細胞が、肥満化した細胞内ではマイナスに働く。

肥大化した脂肪細胞にマクロファージが増大するのは、肥大化した余計な脂肪細胞を異物とみなしてため。その異物である脂肪そのものを溶かそうと働いて毒を出す。 その毒が付着した臓器の細胞や血管を直接アタックし破壊し、炎症を引き起こす。この炎症が心臓では心筋梗塞の原因となり、膵臓では糖尿病の原因となる。

日本人は、「異所性脂肪」がつきやすい

免疫のメカニズムは非常に賢いが、賢すぎるために勢い余って正常な部分まで破壊してしまう。とくに、この「異所性脂肪」は太っている人よりも痩せ型の人こそ注意が必要である。

というのも、痩せ型の人はもともと備えている脂肪細胞の数が少なく、摂取したエネルギーのうち、余計なエネルギーが内臓脂肪や皮下脂肪として溜まりにくく、行き場を失った脂肪が発生しやすいためである。

この行き場を失った脂肪は、すぐに臓器に向かい付着し、「異所性脂肪」となる。日本人とアメリカ人を比較しても日本人のほうが皮下脂肪がつきにくい反面、「異所性脂肪」がつきやすいことがわかっている。

日本人に増加している生活習慣病の原因が、単純に欧米化した食生活だけが原因なのではなく、この「異所性脂肪」とそれにより活性化する自然免疫が一因であるかもしれない。

Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.