「食」関連トピックス
エビデンスと直感の統合
 〜「統合医療展2013」セミナー

2013年2月20日(水)、東京ビッグサイトで、「統合医療展2013」が開催された。同展示会のセミナーで、NPO法人 日本ホリスティック医学協会 会長の帯津三敬氏が、「エビデンスと直感の統合」と題して講演した。


私たちはエビデンスに頼って生きているわけでない

帯津氏はホリスティック医学を30年研究し実践しているが、それでもその核を掴めていないという。統合医学は医療現場にだいぶ浸透してきている実感があるというが、その先にこそ理想とするホリスティック医学があると帯津氏は信じているという。

従って、まずは統合医学を十分に推進・普及させなければならない。その上で、帯津氏の今年のテーマは「エビデンスと直感の統合」であるとした。

直感とは非科学的なものであろうか? 私たちが生きていること、つまり「生」そして「命」もまだわからないことばかりで、その多くが科学ではまだ解明されていない。

私たちは自身の人生の多くを意識的であっても無意識的であっても直感や予感に頼って生きていることが実は多く、それをまずは認めなければならない。とくに医学において「エビデンス」の重要性が強調されるが、私たちはエビデンスに頼って生きているわけでは決してないと帯津氏。

虚空に包まれる宇宙からエネルギーをもらって生きていく

人が何のために生まれてくるのか。命とはどこからやってきて、どこに還っていくのか。帯津氏はこの疑問に対して自分なりの答えを出している。それは「虚空」であるという。虚空とは何もない空間のことであり、宇宙をも包括している。私たちの魂は遥か虚空から地球にやってきて、また虚空に還ってゆく。

自らの人生経験、そして医師としてたくさんの生死に関わってきたからこその結論だという。虚空は私たちすべての魂のふるさとであり、一番大きな「場」であると帯津氏。虚空を感じ、虚空に包まれる宇宙からエネルギーをもらって生きていくことが「良く生きること」だという。

虚空の中には宇宙があり、宇宙の中には地球がある。地球の中には自然環境や生態系、地域社会があり、その中に人間が含まれる。人間の中には臓器があり、臓器のなかには細胞、遺伝子、分子、原子、素粒子と階層=それぞれの「場」がある。上の階層は下のすべてを包含している。

自然治癒力を高めていくことこそ重要

私たちは「場」のなかの存在であると帯津氏はいう。例えば人間は「社会という場」「地球という場」に存在している。その場のエネルギーを高めることが重要であるという。そのために必要なことが生きる喜びであり、躍動感である。快適な生活は決して大いなる喜びや生きる躍動感をもたらしはしない。

生きる喜びや躍動感の根源かつエネルギーとして、私たちすべての人間には自然治癒力が与えられている。この自然治癒力を高めていくことが重要で、自然治癒力の存在はローマ時代からすでにわかっているが、未だ誰も手にしていないし、その正体は明らかにされていない。

しかし、帯津氏は自然治癒力とは「場に備わった能力」と考えるようにしているという。場さえあればそこには自然治癒力があるはずだ。地球、生態系、地域社会、人間、臓器、細胞、遺伝子、分子、原子、素粒子、すべての場において自然治癒力は確かに存在している。

医療には癒しが含まれ、自然治癒力も含まれる

最も自然治癒力の高い場とはどこなのか。帯津氏は、それは「浄土」だという。しかし浄土とはどこにあるのか。それは「本願の場」だと帯津氏はいう。帯津氏自身、この答えを掴むまでにかなりの時間がかかったそうだ。自然治癒力とは本願のことではないか、そう考えることが一番腑に落ちるという。

そして本願とは自力ではなく他力である。存在自らが自然治癒力のスイッチを押すのではなく、虚空から、あるいは属している場から、他力の本願が働くことで自然治癒力が働きだす。まさに他力と自力の統合である。

統合医療が叫ばれるが、まずは自然治癒力を突き詰めてほしいと帯津氏いう。医学においてエビデンスの重要性はいうまでもないが、医学と医療は全く異なる場にある。医療は医学よりも先の場にあり、医療が医学を内包している。医学はエビデンスだけで良いが、医療には癒しが含まれ、自然治癒力も含まれる。

戦略的に攻めの養生を

医療とは治療ではなく治療と癒しの統合でなければならない。医療とは場の営みであり、主役である患者だけでなく、医師、看護師、薬剤師、家族などそこに関わる全ての人のエネルギーが高まりはじめて効果が現れるものである。携わる人々全ての「本願」が場のエネルギーと自然治癒力を高める。

代替医療、統合医療とは「治した」「治らなかった」の二極ではない。今日より良い明日を生きること、ほんの少しでも前進すれば良く、エネルギーを高めるものである。自然治癒力の定義はともかく、患者よりも死に近い立場から物事を大きく捉え、戦略的に攻めの養生を提供してほしいとした。

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