「食」関連トピックス
女性を元気にする漢方活用術、ステキ女子のためのココロとカラダ〜女性のための漢方セミナー

2013年2月23日(土)、昭和女子大学人見記念講堂で「女性のための漢方セミナー」が開催された。今回のセミナーでは、漢方を臨床の現場でも処方している医師の福澤素子氏(表参道福澤クリニック副院長)より、漢方の取り入れ方、つき合い方についての講演が行われた。


漢方、複数の症状にアプローチすることを得意

多くの人が西洋医学と東洋医学のそれぞれの基礎知識を持ち、上手に使い分けられるようになることが理想であると福澤氏。女性の健康状態の多くは長期に渡って女性ホルモンと月経リズムに支配されているが、これにより引き起こされる不定愁訴には、いくつもの症状がある。

複数の症状にアプローチすることを漢方は得意とする。女性が向き合わなければならない疾病に、月経異常、更年期障害、不妊症、卵巣がん、子宮頸がんなどがある。これらは初期症状を気づきにくいため、定期的な診断が必要となる。ホルモンバランスと月経リズムを上手に味方につけ、日々を送ることが予防の鍵となる。

バセドウ病やリウマチ、膠原病も男性に比べ女性の罹患率が高い。これはストレスとも関わっていると考えられている。女性はメンタル面でも男性に比べそのコントロールが難しい。他にも、冷え性やむくみ、頭痛に女性の7割以上が悩んでいるといわれる。ストレスや冷え、むくみ、頭痛は女性ホルモンやストレスも関与している。

まずは自分の月経周期を整えること

では、ホルモンバランスと月経リズムを上手に味方につけるにはどうしたらいいのか。まずは自分の月経周期を整えることであるという。正しい月経周期とは、生理の初日から次の生理の初日までの期間が25〜38日で、それがほぼ一定であることが目安になる。

この周期が乱れていると、月経異常、月経困難症などと診断され、若い女性の場合、妊娠出産を経て症状が自然に解消されることもあるが、すでに婦人科疾患に罹患しているケースもあるためすぐに医師に相談すべきだという。

月経周期を整えるためには生活習慣と食習慣が重要となる。排卵期から生理前の10日くらい(黄体期)は、腹痛・便秘・下痢・頭痛・乳房痛・ニキビ・腰痛・過食・肩こり・むくみなどの症状が生じやすい。もちろんメンタル面でも抑うつ・イライラ・不安・無気力・不眠・睡眠過多などの症状が生じる。これらの症状が複数現れることがあれば、一つだけ現れる場合や個人差もある。

生活習慣と食習慣で予防

しかし一つでも現れればPMS(月経前症候群)といわれる。ある程度は仕方がないが、生活習慣と食習慣でまずは予防をして欲しいと福澤氏。例えば、基礎体温の測定で生理周期を把握し排卵日を推測することで、そこから黄体期はあらかじめチェックしておくことができる。黄体期には予定を詰め込みすぎない、ハードな仕事やデートなどの予定は入れない、自分のための時間をあらかじめ確保しておくなどの対策を立てておくことが非常に効果的だという。

その期間は不足しがちな鉄分を多目に摂取する献立を考えたり、肩こりやむくみを予防するためにカリウムの多く含まれるような食品を摂ったり、身体を温める食材を積極的に摂取するようにするだけでも症状が緩和されることが多いという。

黄体期はPMSが生じるものと認識し、そして黄体期から月経期は平常時よりもゆったりと、自分のために心身をいたわる期間として過ごし、それ以外の時はアクティブに過ごすといった、月経リズムに合わせたメリハリのある一カ月を過ごすことで症状が緩和されることは多いという。

「証」をもとに漢方薬を選ぶ

それでも日常生活に支障が出るほど症状が重い場合はすぐに婦人科を受診すべきで、ぜひ医師の指導のもとに漢方を取り入れてみてほしいという。漢方は1剤でいくつもの症状に効くことが多く、一度に多彩な症状が現れるPMSや月経痛には非常に相性がいいそうだ。

また漢方は効き目がゆっくりであると思われているが、PMSや月経痛には効果が高く、翌月の黄体期や月経期に改善がみられるケースがほとんどで、漢方を取り入れ始めた多くの女性が「なぜもっと早く取り入れなかったのだろうか」と口にするという。もちろんどれか一つの症状が顕著な場合、その症状に対しては西洋薬を用いるといった併用も可能である。従って、西洋医学との上手な併用をできるようにするためにも漢方に詳しい医師に相談することが望ましいと福澤氏。

そもそも漢方薬はその人の体質や症状にあったものでないと効果を発揮しないという。その体質を見極めるためには独自の理論に基づいて体質を診断する独自の「ものさし」があり、それを「証(しょう)」という。漢方に詳しい医師はこの「証」をもとに漢方薬を選ぶことができる。

診断は四診といわれ4つの診察方法

「証」とは、その人の「体質、体力、抵抗力、症状の現れ方などの個人差」を現すもので、本人の訴える症状だけでなく体格などの複数の要素から判別される。例えば体力や抵抗力が高めな人は「実証」、体力や抵抗力が低めな人は「虚証」と分類される。また、「気・血・水」の3要素が体内をうまく循環しているかどうかも診断する。診断は四診といわれ4つの診察方法が用いられる。

まずは望診。顔色や態度、姿勢、体型を診て、さらには舌をみる「舌診」を行う。そして「聞診」。声の大きさやトーン、話し方、咳の出方、痰の様子、呼吸音などを聞いたり、体臭や口臭を確認したりするという。そして「問診」。自覚症状だけでなく、これまでにかかった病気、食べ物の好み、ライフスタイル、仕事、月経のサイクルなどを確認。そして切診。身体に触れてその状態を診るが、大きくは脈診と腹診であるという。

漢方薬は女性の不調に向いている

このように漢方は個人の体質をしっかり見極めて処方されるため、検査をしても原因がはっきりしない不調にこそ強い。複数の症状があっても1剤で済むことが多いというメリットがある。また、病名がつかない症状にも対応ができるということが最大の特徴。漢方薬はまさに女性の不調に向いているといえる。

近年は「性差医療」という言葉も知られるように、男女のさまざまな差異により発生する疾患や病態の差異を念頭におくことでよりきめ細やかなオーダーメイドの医療を実現することが社会的に強く求められている。そのため女性専門外来が急増している。

女性専門外来では身体だけでなく心や家庭の問題、仕事での悩みなども診断していくため、複数の専門医が対応していることが多い。そして女性専門外来では漢方が必須となっており、漢方が女性にとってより身近な存在になる環境も整いつつあるという。

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