「食」関連トピックス
健康とは何か・病気とは何か〜健康と病気は一つの連続した状態である〜ナチュラル・ハイジーン基礎哲学シリーズ

2013年4月14日(日)、機械振興会館で、ナチュラル・ハイジーン協会会長の松田麻美子氏を講師に迎え、講演会「ナチュラル・ハイジーン基礎哲学シリーズ〜健康とは何か・病気とは何か」(日本リビングビューティー協会主催)が開催された。


 発熱や炎症、ヒーリングとクレンジングのサイン

松田氏はナチュラル・ハイジーンに則った生活を続けて今年で25年目を迎えるという。スリムなのにパワフルでエネルギッシュ。その若々しさと美しさの秘訣を少しでも学びたいと、会場には200人超の老若男女が駆けつけた。

「多くの人は病気が外からやってくると思っていますが、それは間違いです」と松田氏は指摘する。
そもそも病気には@急性とA慢性の2種類がある。外からのウイルスの侵入、あるいは体の中でバランスが崩れて調子が悪くなったとしても、体はそれを治そうと自らの自然治癒力を発揮する。

ウイルスのような異物の侵入により体内で異常が生じた場合、体は発熱や炎症、咳やくしゃみといった症状を起こし、異物や毒素を外に排泄・解毒しようとする。一般に、発熱や炎症は「病気のサイン」とされているが、これは排泄と解毒、つまりヒーリングとクレンジングのサインであり、体が持つ浄化作用にほかならない。

しかしこれに耐えることなく、私たちは安易に薬を飲み、浄化作用を無理矢理止めようとする。例えば解熱剤、抗ヒスタミン剤、咳止めの服用である。このような体の自然な浄化作用を止めることを繰り返していると、いずれ自然治癒力が働かなくなる。病気の慢性化はまさに体がクレンジングとヒーリングの作業を放棄してしまった状態であると松田氏はいう。

人間には本来人間が摂るべき物がある

そもそも病気になるには必ず原因がある。その原因とは、身体にとってふさわしくないライフスタイルである。つまり「動物性食品の摂取と精製加工食品の摂取」、そして「プラントベース(植物性食品)&ホールフード(丸ごと食べる)の食事、睡眠、運動、日光、ストレスマネージメントの不足」など食習慣や日々の生活スタイルが起因している。

なぜ動物性食品が私たち人間にはふさわしくないのか?それは私たち人間の歯と腸の構造からも明らかだという。私たちの歯には肉を切り裂くような犬歯もなく、胃の中には肉食動物のように食べた肉をすぐに消化する体内酵素を持ち合わせていない。また、食べた肉をすぐに消化できる短い腸も持ち合わせてはいない。

犬歯を持つ犬にフルーツを見せても見向きもしない。それと同様、人間には本来人間が食べるべき物がある。それは地球上に自然の形で存在しているものであり、加工したり、抽出したりする必要もない物である。

私たち人間は、オラウータンやチンパンジーと同じ霊長類であり、チンパンジーとの遺伝子の相違はわずか1.23〜1.6%程度に過ぎない。もちろん人間はチンパンジーと類似する歯や胃腸の構造を持っている。チンパンジーが果食動物であるように、人間の体もまさに果食に適しているようにできていると松田氏は指摘する。

ナチュラル・ハイジーン、「体の状態をより自然に、清潔に保つ」という意

ナチュラル・ハイジーンの日本語訳は「自然に」「清潔を保つ」という意。「私たちの体をいつも自然で清潔に保つことが健康を保証してくれる」ライフスタイルがナチュラル・ハイジーンと松田氏はいう。

私たちの体がいつも自然な状態で、清潔に保たれていれば、どんなウイルスが侵入しても体内で増殖することはない。今日本では風疹が大流行しているが、体内が清潔に保たれていれば恐れることはない。発症するのは体内が汚れているからに他ならないという。

とはいえ、私たちの体内は常に汚染の危険にさらされている。健康維持に不可欠な休息や運動、そして微量栄養素はいつも不足がちだ。タンパク質や脂質・食品添加物などは過剰状態で、過剰に摂った不要物、毒の解毒が間に合わず、次第に「毒血症」状態になるという悪循環に陥る。

「健康」も「病気」も一つの連続した状態

毒血症は「細胞内便秘」ともいわれる。細胞に不要な毒素が溜まっている状態で、細胞が炎症を起こし、炎症はやがて潰瘍となり、潰瘍は硬化し、最終的には元に戻らないほどの状態に、つまりガンの発症や臓器不全といった症状に進行していく。

体に不調が生じたとき、薬を飲んで症状を抑えようとする。実際に薬は症状を緩和させ、その状態をして、「病気が治った」としている。しかし、「病気が治る」ことと「症状が緩和される」ことはまったく別である。

本当に病気を治したいのであれば、薬も手術も不要であると松田氏は断言する。自然療法医博士のハーバード・M・シェルトン氏は、「健康のときに有害なものは、病気のときにも等しく有害である」というが、松田氏もこのことを強調する。

健康なときに薬が必要ないように、病気の時にも薬は必要ない。体のクレンジングや浄化作用を邪魔しない、正しい食習慣、休養、運動が重要なのだと松田氏。つまり病気とはバランスの崩れ、そして崩れたバランスを元に戻そう、均衡を保とうとする作用であり「健康」も「病気」も一つの連続した状態であると解説した。

植物性の食材をまるごと食べることが一番自然

食事については、私たち人間つまり霊長類はチンパンジーと同様そもそも果食動物であり、植物性の食材をまるごと食べることが一番自然であると松田氏。つまりヴィーガン(ベジタリアンは卵や乳製品を食べるが、ヴィーガンはこれらも食べない)であることが一番自然な状態だが、これをいうとすぐに「肉を食べないでタンパク質をいったいどのように摂取するのか?」と言い返されてしまう。

しかしサーロインステーキ100kcal(5.4g)とブロッコリー100kcal(13.0g)を比較すると、ブロッコリーにはタンパク質が52.1%含まれているが、サーロインステーキには21.6%しか含まれていない。牛乳100gとケール100gでカルシウム量を比較しても、実はケールのほうがカルシウムが多く含まれている。

「植物性食品にはタンパク質やカルシウムがほとんど含まれていないから、肉や乳製品を摂らなければならない」というのは大きな誤解で、植物性食品、自然界に存在しているものをそのまま食べていれば、私たち人間の体にとって必要な栄養素を十分摂取できると松田氏は強調する。

牛乳の売上、この10年で最低を更新

実際、アメリカでは植物性食品の栄養価の高さに関する真実が次々と明らかにされ、牛乳の売上はこの10年で最低を更新している。その一方で、豆乳をはじめアーモンドミルクやライスミルクなど植物性のミルク市場が急激に売上を伸ばしている。もちろん牛乳だけでなく、動物性たんぱく質の摂取量を減らしたほうが心疾患や循環器系疾患、発がんリスクが低下することも複数の疫学調査で明らかにされている。

例えば、戦時中のノルウェーでは、戦争の影響で極端に動物性タンパク質や乳製品の摂取が著しく減少した一方で循環器系疾患が減少した。ところが、戦後食料状態が元に戻り乳製品や動物性タンパク質が摂取されるようになると、循環器系疾患が右肩上がりで増加している。

日本人の死因の第一位はガンで、多くの人がガンのリスク因子を避けようとする。食品添加物や農薬の危険性については頻繁にニュースになり、3.11以降は放射性物質による食料汚染が大問題となり世間を騒がせた。

しかし、ガンの危険因子の35%は食事であり、30%はタバコ、10%はウイルスやバクテリアによる感染であり、食品添加物や残留農薬は、ガンの危険因子としてはわずか1〜2%にすぎない。この1〜2%に目くじらを立てるより、毎日の食事を気遣うべきだと松田氏。

植物性食品の食事を推奨すると残留農薬の危険性を指摘する人もいる。しかし、そもそも農薬は脂溶性で、野菜にはほとんど含まれないという。きちんと洗って食べれば問題のない微量レベルであり、それよりも、農薬が付着したままの飼料を食べている動物や魚介類(特にマグロ)こそ危険だが、検査もされず流通していることのほうが問題だと指摘した。

慢性病は未精製・未加工のプラントベース(植物性食品)の食事で予防・改善・回復

栄養学の大家であり、『葬られた「第二のマクガバン報告」』の著者でもあるコリン・キャンベル氏は「動物性タンパク質の摂取量を変えるだけで、ガンの成長をONにしたりOFFにしたりすることが可能である」としている。日本でも、動物性タンパク質の摂取量の増加にともない、ガンだけでなく、心不全、心筋梗塞、くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞が増加の一途を辿っている。また、高血圧や糖尿病は国民病ともいえるレベルで増加している。

キャンベル博士は「ガンや心臓病、脳卒中、糖尿病、アルツハイマー、EDほかすべての慢性病は未精製・未加工のプラントベース(植物性食品)の食事で予防・改善・回復する」と断言、数多くの改善例を挙げている。ナチュラル・ハイジーンにより心臓病が改善したあるアメリカ人医師は「心臓病は張り子の虎同様、決して存在しない」と話している。

アメリカではローフード愛好者やベジタリアンがどんどん増えてきている。シカゴ市長のラーム・エマニュエル氏は市民にヴィーガンへ転向することを呼びかけているが、この背景には医療費の大幅なコストカットの実現だけでなく地球環境への配慮もあるという。

微量栄養素を積極的に摂取すべき

ナチュラル・ハイジーンの食生活を実践するために、松田氏は「健康方程式」を紹介。健康維持のためには総摂取カロリーのなかに微量栄養素(ビタミン・ミネラル・ファイトケミカル)がどれだけ含まれているかが鍵となる。できるだけ微量栄養素を積極的に摂取すべきと解説した。

総合栄養濃度指数(アンディスコア)というものがあるが、これは一つの食材にすべての栄養素が豊富に含まれているほどスコアが高くなるというもの。例えばケールやクレソン、芽キャベツはスコアが100、それに対しポテトチップスは〜9、チェダーチーズは〜6、鶏胸肉や卵は1を示している。

スコアの高いものは植物性食品であり、食事のなかにどれだけ植物性食品を取り入れるかが微量栄養素の摂取増につながる。また近年は血管の「糖化」現象も話題となっているが、血糖負荷の高い食品、いわゆる高GI食品の摂取が老化を促進させることが解明されていると松田氏。

GBOMBS、爆弾級のパワーを与えてくれる食材

最後に、私たちに爆弾級のパワーを与えてくれる食材として覚えやすいように「GBOMBS」を紹介。GはGreens(緑黄色野菜)、BはBeans(豆類)、OはOnions(ネギ類)、MはMushrooms(キノコ類)、BはBerries(ベリー類とザクロ)、SはSeeds/Nuts(種実類)である。

よりよい食習慣こそ病気から身を守る最も強力な武器であり、プラントベース、ホールフードといった食生活による効果は、医療現場で使われる薬や手術よりもはるかに多様性があり優れていると松田氏は熱く語った。

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