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ストレス社会を生きる〜ストレスの理解と対処法

ストレスとその影響が社会的関心事となっているが、そのストレスをテーマとした都民講座が始まった。(財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所が主催する「平成20年度第2回精神研都民講座」で、第1回が2008年6月27日(金)、第2回が7月18日(金)、東京・津田ホールで、それぞれ一般公募による500名近い聴衆を集めて開催された。(協賛:都立中部総合精神保健福祉センター他)この講座は、第6回まで予定されている。
3つのC(Cognition,Control,Communication)で心を楽にする

第1回講座では、「ストレスに上手に対処するコツ」と題して、慶応義塾大学保健管理センター教授大野裕氏が講演。 精神疾患や精神障害は、誰でもかかる人間の自然な反応であり、ストレスは危険を示す心のメッセージであるから、まずそれに気づくことが大事であると強調した。人間、体の辛さはすぐ気づくが、心の辛いのはなかなかわからないとし、ストレスに気づく方法として4つの変化を挙げた。1身体面の変化(睡眠、食欲など)、2生活面の変化(趣味、人付き合いなど)、3仕事面での変化(集中力、作業量など)、4気分の変化(やる気、イライラ感など)。 

さらに、朝になると調子が悪くなる「朝刊シンドローム」や「午前3時症候群」といった新しい傾向を指摘した上で、「まだ頑張れるは要注意」であると促した。

ストレスを解決するには、精神状態の設定や問題設定などいくつかの構成要素があるが、すぐに解決できないときには適度な気分転換が必要とした上で、心を楽にする3つのCを挙げた。Cognition(柔軟な考え方、広い視野)、Control(自分らしさを保つ)、Communication(気持ちのつながり、支えあうこと)。

また、支配的――従属的、敵対的――友好的という図式で知られる対人関係の法則(Kieslerの対人円環)を引き合いに出して、日常の対人関係場面での上手な主張のしかたを学ぶアサーショントレーニングを紹介した。最後に、うつの場合などについては、専門機関への相談や医療機関の上手な利用の必要性を説いた。

5つの知恵でトラウマと喪失のストレスに向き合う

第2回講座では、「トラウマと喪失のストレスに向き合う知恵」と題して、東京都精神医学総合研究所研究員飛鳥井望氏が講演した。 まず、2005年に東京都精神医学総合研究所が行なった「くらしと心の健康危機調査」の結果、「自分や周囲の人のトラウマ・喪失体験にショックを受けたことがある」が42%、「そのショックは現在も精神的に影響している」が12%であったことを報告。強い恐怖や危機感を体験した後は、センサーが過敏になった火災報知器を体の中に抱えたような状態になり、これが気が休まらずに精神的にも消耗し、意欲や集中力の低下、不眠、イライラしやすさにつながるとし、トラウマ記憶は、刺激の要素、反応の要素、意味の要素の3要素が混然一体となっていると強調した。1980年にアメリカの精神医学会で定義されたPTSD(心的外傷後ストレス障害)には、再体験、回避/精神麻痺、過覚醒の3症状があるとして、再体験症状の実例を挙げた。 

実際にトラウマや喪失のストレスに立ち向かった経験者の実例に加え、当人にとって癒しとなる周囲の人々の対応として、寄り添う・付き添う→説教よりも聞き上手→温度差を理解→ペースに会わせて背中を押してあげる、ことを挙げた。

最後に、トラウマと喪失のストレスに向き合う知恵として5つの項目を示した。 1心の変化を知る 2恐怖・不安対象に徐々に馴れる 3記憶を封印しない 4バランス思考の心がけ 5自らの気づき・得心(身に着けた知恵)

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