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自由貿易によるボーダレス化、
食中毒波及の要因に
8月6日(火)、abc会館ホール(東京都港区)で「たまごフォーラム2002」が開催された。当日、小澤義博氏(国際獣疫事務局(OIE)名誉顧問)、マーク・ウイリアムズ氏(英国鶏卵評議会理事長)、馬場栄一郎氏(大阪府立大大学院農学生命科学研究科教授)らによる講演が行われた。
鶏卵のサルモネラ感染、SEワクチンの使用で減少傾向に
数年前に日本で猛威を振ったO-157。その後、鶏卵のサルモネラ・エンテリティディス(SE)感染についてもクローズアップされ、日本人の食中毒への防衛意識が高まりをみせた。こうした状況について、国際獣疫事務局(OIE)名誉顧問の小澤義博氏は、「食品の安全性が強く叫ばれるようになったが、その背景に自由貿易ということがある。1982年頃より食中毒の問題がクローズアップされ、米国やヨーロッパでも同時に起こってきた。グローバル化したことと関連している」と指摘。
鶏卵のSE感染については、欧米では約20年余り前から次第に増加の傾向をたどる。その後「飼料汚染の防止、抗生物質の使用、汚染農場の消毒と浄化などあらゆる面で必要な対策がとられ、1993年から米国ではSEワクチンを使用するようになり、サルモネラの汚染例数が次第に減少してきた」(同)という。また英国、オランダ、ドイツなど欧州でも、SEの不活化ワクチンの導入以後、感染率の減少が明らかであるという。
日本のサルモネラ感染対策は不十分
SE感染については、英国で1985年から1986年にかけて人のSE発症が急増し、1988年には「英国内のほとんどの鶏卵はバクテリアに汚染されている」と厚生副大臣が発言し、物議をかもした経緯がある。1994年以後は顕著な減少を示し、現在では1984年以前のレベルになっているという。
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英国鶏卵評議会理事長のマーク・ウイリアムズ氏は、SE感染が1980年代に短時間に、多くの国々に広まってしまった原因について、「はっきりした証拠はないものの、SEがほとんど同時期に英国内およびヨーロッパ全土で、産鶏卵・ブロイラー・アヒルといった異なった種類の鶏に発生したという事実は、飼料が最初に汚染された可能性を示している」とした。
これに対し、日本は、「平成8年の病原性大腸菌O-157による食中毒の患者数は14,488人であったが同年のサルモネラ菌属による食中毒患者数は16,576人と上回っており、原因物質別にみた患者数でも第一位であった」(馬場氏)という。現状においても食中毒患者数の減少が見られず、日本における対策が不十分であるとの指摘も。
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