生活習慣病予防、日頃の栄養管理から

6月1日(土)、国立健康・栄養研究所(東京都新宿区)で「第67回生活習慣病予防講演会」が開催された。「賢く食べて脳卒中、心臓病を予防しよう」をテーマに、大澤俊彦氏(名古屋大農学部応用生命科学教授)、水嶋春朔氏(東京大医学教育国際協力研究センター講師)、池上幸江氏(大妻女子大教授)らが講演をおこなった。

食品中の抗酸化物質、脳卒中や心臓病など生活習慣病予防で期待

講演会の開催にあたって、同研究所の田中平三理事長が「生活習慣病の中の死因の3分の2を脳卒中と心臓病が占める」と挨拶し、日頃の食事による栄養管理が重要であると説いた。

また、大澤俊彦教授は「動脈硬化の予防のために注目したい食品」と題して講演。「今日の過剰な活性酸素の発生がさまざまな疾病を引き起こす原因となっている」とし、食品中の抗酸化物質の摂取は活性酸素の害を緩和し、老化防止に繋がると述べた。

大澤教授らは20年以上も前から、ハーブやスパイスなど食品素材を中心に抗酸化物質の研究を進め、とくにゴマ種子に含まれる脂溶性リグナン類のセサミンの研究に専心、「肝機能の改善や運動障害の軽減、乳がんの予防などの機能が明らかになってきた」という。この他、カレーの香辛料として知られる「ターメリック」色素のクルクミン、アブラナ科野菜、赤ワイン色素、ココアポリフェノールなどの機能性についても言及、抗酸化物質の疾病予防の可能性について説いた。

糖尿病、一部のがん、骨粗しょう症などはビタミン・ミネラル不足が関与

また、水嶋氏は「世界の疫学調査からみた”賢い食べ方”」と題して講演し、日本人の平均寿命を時系列で解説。

「日本人の平均寿命は、明治、大正はとても短く、人生50年だった」とし、その原因を「全体的な栄養状態が悪く、医療や保健が十分発達していなかったため」と総括した。

氏によると、日本人の平均寿命が伸びだしたのは昭和40年くらいからで、結核をはじめとする感染症対策が進んだことや栄養改善が主要因という。また、この頃の死因の第一位は脳卒中だが、低栄養(低蛋白・低脂肪)を背景に、高食塩摂取が重なった結果であるとした。

また、池上氏は「保健機能食品の”賢い使い方”」と題して講演。「保健機能食品は食生活の改善をより充実させるために使うことが最も賢い使い方」とし、循環器疾患、糖尿病、一部のがん、骨粗しょう症などの疾患はビタミン・ミネラル不足が関与していることは疫学的にも明らかで、保健機能食品で補うことも良いとした。


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