5月19日(金)、全納連主催の「ポリアミン記者発表会」が開催された。当日、早田邦康氏(自治医科大学大宮医療センター)が納豆やチーズなどに多く含まれ、抗老化物質として知られる「ポリアミン」について研究成果を発表した。
アンチエイジング成分「ポリアミン」、加齢にともない体内合成能が低下
ポリアミンは自然界の全ての動植物の細胞内に存在する成分で、抗老化、抗炎症などの作用で知られる。約300年前に発見されている物質だが、その機能性が注目されるようになったのはつい最近のこと。
ポリアミンはアミノ酸の一種、アルギニンにより細胞内で合成される。ヒトを含めた全ての動物がポリアミンを体内合成し、とくに「生まれたばかりの赤ちゃんや成長の早い時期に活発に作られる」(早田氏)。しかし、加齢に伴ないポリアミンを合成する酵素の活性が弱まり、合成能が低下していく。男性の場合、40歳以降はポリアミン合成の低下が顕著になる。また女性の場合は女性ホルモンがポリアミン合成を助け、男性と比べポリアミンの減少は緩慢といわれる。
アンチエイジングとは、加齢のスピードを遅くすることでもあるが、「加齢は炎症と密接な関係がある。慢性炎症性疾患、関節炎といったものは年齢とともに起きてくる。動脈硬化についても慢性炎症が原因であると考えられている。加齢を克服するためには炎症を克服すればいい」と早田氏は指摘する。
動脈硬化発症のメカニズムについては次のようなことだ。血管内に酸化LDL(悪玉コレステロール)が増えると、リンパ球が発動し、サイトカインなどの物質を分泌する。しかしながら、サイトカインはリンパ球などの免疫細胞と血管内皮細胞を刺激し、免疫細胞からLFA-1分子を多く出す。LFA-1分子は血管内皮細胞のICAM分子と強く結合するが、これによりさらにサイトカインなどの刺激物質が分泌されることとなり、血管内の炎症反応が拡大、動脈硬化へと繋がっていく。
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