にがりに含まれる微量ミネラル、
現代人の生体調整に必須


10月13日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で「第108回キチン・キトサン協会研修会」が開催された。京都大学名誉教授の糸川嘉則氏がミネラルと健康との関連、熊本県立大学教授の奥田拓道氏がキチン・キトサンの有用性について講演を行った。

循環器系統の疾患防止で注目されるマグネシウム

冒頭、挨拶に立ったキチン・キトサン協会副理事長の福地知行氏は、「食塩が自然のものから人工的なものへと変わったことにより、病気が増えたのではないか。キチン・キトサンと同じ海に由来するもので、マグネシウムを多く含むにがりが注目されている」と述べ、11年目を迎えた協会の今後のテーマとして「にがり」の有用性について取り上げたいとした。また京都大学名誉教授の糸川嘉則氏は、「ミネラルに関する最近の話題」と題して講演し、ミネラル全般の作用について解説。「114種類あるミネラルが全て必要というわけではない。これまで、必須ミネラルと有害なミネラルという分け方がされていたが、問題は量とバランス」と機能性について説明した。

高齢者社会の到来により、今後さらに循環器系統の疾患が増えることが予測されるが、これについても、「これまでマグネシウムの有用性が無視されてきたが今後重要な役割を果すことになる」とし、高齢者のマグネシウム摂取が低いことを指摘。にがりなどに含まれるマグシウムが循環器系統の疾患の防止に役立つとした。また、亜鉛欠乏による貧血や味覚障害、分裂症の増加、クロム欠乏による糖代謝異常など、ミネラル全般の機能についても説明した。

にがりを含む自然塩は精製塩に比べて血圧上昇の害が出にくい

また、熊本県立大学教授の奥田拓道氏は、「ミネラルとキチン・キトサン」と題して講演。血圧上昇を抑制するキチン・キトサンの機能について解説した。 奥田教授は、これまで食塩と血圧上昇との関連について、「食塩の過剰摂取は血圧を上昇させるが、食塩中のナトリウムが原因ではなく、塩素が元凶である」とし、各方面より注目されていた。

「高血圧はナトリウムによってもたらされる」という世界的常識に対し、「キチン・キトサンはプラス荷電のためマイナスの塩素を吸着して排泄する」と提唱、高食塩食による血圧上昇をキチン・キトサンが抑制することを動物実験により立証した。

今回、にがりについても血圧上昇抑制があることをラット実験にて確認。にがりを含む自然塩と精製塩で血圧上昇の比較を行ったところ、にがりの塩素は食塩の塩素に比べて吸収されにくいことが判明。にがりを含む自然塩は血圧上昇の害が精製塩に比べ、出にくいことが示唆された。

研修会の後半は、体験者による発表会と東洋医学医療センター院長の上田正好氏らによるパネルディスカッションが行われた。 キチン・キトサン協会は1991年9月に発足。現在、11年目を迎え、会員数は12,443(平成13年10月現在)。


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