6月29日、経団連会館(東京都千代田区)で「納豆の新薬効・効能に関する発表会」が開催された。倉敷芸術科学大学(産業科学技術学部)の須見洋行教授が「新しく判明した納豆の薬効・効能に〜溶菌酵素、リゾチーム他」について、斗星堂クリニック院長の菅間正気氏「納豆の臨床実験データによるその薬効・効能に関する最新レポート」について講演した。
新たに抗菌成分「納豆リゾチーム」を発見
講演の中で、須見氏は、納豆の抗菌成分についてはジピコリン酸が知られるが、「今回新しく抗菌成分として納豆リゾチームが発見」されたと報告。
また、「米国では、前立腺がんが日本人の10倍といわれるが、予防に大豆が注目されている」とし、中でも納豆に関心が集まっていることを強調。納豆の機能性について、「納豆に含まれる成分で、血栓を溶かす酵素のナットーキナーゼに注目が集まっている。人間の体内には血栓を溶かす酵素があるが、それよりも強い。世界の食品の中で最も強い血栓溶解活性を持っているのが納豆」と述べた。
また、納豆に多く含まれるビタミンkについても触れ、「骨の予防のためにも、1週間のうち何回か納豆を食べていれば骨粗しょう症を防ぐことができる。納豆をあまり食べない関西地方の高齢者は東北地方の人々と比べ、骨粗しょう症になる傾向が高い」と述べ、カルシウムを骨に結合させる糊の役目をするたんぱく質の合成にビタミンkが関与している、とした。
血栓予防、ガン抑制に期待
5年前ほどにO-157が猛威をふるい、対策に関心が注がれたが、この時に注目されたのが納豆。最も身近で、抗菌性に優れた防衛食品として話題となった。「O-157を約4時間培養して、その中に納豆菌を入れた場合、有意に作用するということが判った」(同)。こうした納豆の抗菌作用についてはジピコリン酸が関与しているとされ、「江戸時代、納豆はお腹の薬だった。納豆菌には菌の生育を抑える抗菌効果が強い。O-157を抑えるだけでなくカビや酵母なども抑える」と須見氏。コレラやチフスや赤痢などの予防のために納豆が利用されてきた歴史があるという。
ジピコリン酸はある種のがん細胞に対してアポトシス(細胞死)を起こすことも知られている。
・
・