11月16日(木)、虎の門パストラルで「脂質の機能と健康食品の動向」をテーマにDHA・EPA協議会主催の第2回公開講演会が開催された。油脂(脂肪酸)が健康に深く関与していることが判っているが、n-3系とn-6系脂肪酸の摂取比率の重要性などが明らかにされた。
魚食が多い国は虚血性心疾患が少ない
午前の講演で、「n-3及びn-6脂肪酸の必須性と推奨摂取量」と題して、女子栄養大学の長谷川恭子教授が講演。本年6月4日〜9日につくば学園都市のInternational Congress Centerで開催された「国際脂肪酸・脂質学会」(ISSFAL)においてn-3系、n-6系脂肪酸の必須性と比率の重要性について論じられた内容を紹介した。
n-3系脂肪酸にはα-リノレン酸、EPA、DHAなどがあり、n-6系脂肪酸にはリノール酸、アラキドン酸などがある。このうちn-6系脂肪酸のアラキドン酸には血栓の生成を促進し、心筋梗塞、脳梗塞、大腸がん、アレルギーの亢進などをまねく作用があるとされ、近年、アラキドン酸の元となるリノール酸の摂取抑制が説かれるようになった。
日本人の脂肪酸摂取の現況については、「日本人の母乳中にアメリカとかオーストラリアに比べると倍くらいDHAが含まれている。母乳中のn-6系とn-3系の比率を見るとだいたい日本人で4から6くらい」と長谷川氏。欧米諸国と比べ、n-3系脂肪酸が優位であることを紹介した。これは、日本人の魚介類の摂取が多いことに起因しているという。
n-3系とn-6系の比率がなぜ問題なのか。「虚血性心疾患による死亡率にこれが非常に関係している。魚食が多い国は虚血性心疾患が少ない」と長谷川氏。
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