成分、疾病への有効性などプロポリスの役割明確に

2月20日、コリーナ矢板クラブハウス(栃木県矢板市)で『プロポリスの研究をすすめる会』研究者講演会が開催された。この中で、富山医科薬科大和漢薬研究所 化学応用部門(門田重利教授)グループがプロポリスの基礎研究の現況を報告。また臨床における有効性などプロポリスの効用も明かにされた。

LC/MS分析機でプロポリスの産地やグレードが簡便に特定

冒頭、門田教授が富山医科薬科大学と教室が所有するNMRやタンデムMS等の充実した成分解析機器を紹介。天然物中の成分の構造解析、単離した成分の生物活性・生理活性・合成等の研究を進めていることなどを明かにした。その後、4演題の発表が行われた。

この中で、富山医科薬科大(化学応用部門)のArjun H.Banskota氏は、産地別・グレード別のプロポリスの水エキス・メタノールエキスについて、肝保護活性、殺癌活性、フリーラジカル捕捉活性、抗ピロリ菌活性等への比較のデータを紹介。Arjun H.Banskota氏は昨年カナダ(バンクーバー)で開催された国際養蜂会議「PIMONDIA」でも最新のプロポリスの研究成果を発表しているが、専門家らから高い評価を得た。

またミセル化抽出プロポリスで知られる日本プロポリス(株)の緑川氏(品質管理室)が「LC/MSによる品質評価に関する研究」と題して講演。これまでに富山医科薬科大グループがプロポリスより単離同定してきた化合物群と市販の化合物のLC/MS分析(LC/MS分析機:高い精度で食品の成分分析が可能)を行ったところ、「化合物はすべて検出され、より簡便にプロポリスの産地やグレードを特定できた」と報告した。

また門田氏は「プロポリス中の活性成分の合成について」と題して講演。ブラジル産プロポリスの水エキス中にみられる活性成分Dicaffeoyl quinic acid 誘導体の合成経路を紹介した。

活性酸素がもたらすさまざまな疾病にプロポリスが有効に作用

この他、プロポリスの基礎研究の報告では、富山医薬大和漢薬研究所の松繁克道氏が「世界におけるプロポリスの研究動向と課題」と題して講演。

昨年カナダのバンクーバーで行われた国際養蜂会議の概要報告を行うとともに、「現代人の病気は活性酸素ぬきには語れない」とし、プロポリスに対する踏み込んだ生理活性・生物活性研究の必要性を述べた。

臨床におけるプロポリスの有用性については城後胃腸科・外科医院の城後昭彦院長が自身が保有するミセル化抽出プロポリスの1000を超す改善症例の一部をスライドを用いて紹介。アトピー、糖尿病、がんへの有効性について明かにした。


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