咀嚼がもたらす健康効果明らかに
10月2日(土)、日本大学会館(東京・市ヶ谷)で、第15回日本咀嚼学会公開フォーラム「咀嚼が創る建康長寿--国際コメ年によせて--」(主催:日本咀嚼学会)が開催された。当日、安田和人氏(女子栄養大学非常勤講師)、坂田利家氏(大分医科大学名誉教授)らの講演がおこなわれ、健康維持のための咀嚼の重要性が明らかにされた。

十分な咀嚼、肥満抑制や免疫力の向上もたらす

10月1日・2日の両日、第15回日本咀嚼学会学術大会が開催された。初日はシンポジウムがメインに、2日目はシンポジウムと一般公開によるフォーラム「咀嚼が創る建康長寿」が行われた。
近年、若年層の食事の際の咀嚼が不十分なことが指摘されているが、咀嚼がもたらす健康効果については、唾液分泌の促進による消化の補助、抗菌、食物の発がん性の抑制、肥満抑制、免疫力の向上などがいわれている。

安田氏は「咀嚼と微量栄養素の消化・吸収〜新しい栄養素入りガム」をテーマに講演し、「普通の食物は小腸の上部から吸収されるが、そこに達するまでに薄まってしまう。しかし、口腔内ではほとんど純粋の形でかなり濃い濃度で口腔粘膜から栄養成分を直接吸収させることができる」と述べ、ビタミンC入りのガムで試験したところ、Cの摂取においてガムで噛んだほうがCの血液濃度が1.45倍高まったことを報告した。

また、生活習慣病の中でも、近年、特に糖尿病の増加が懸念されているが、柳沢幸江氏(和洋女子大学)は、「ごはん食のかみ方と食後の血糖・インスリン反応」と題して発表。

「通常のかみ方とよく噛んで食べた場合との食事量及び血糖・インスリン反応を健常者で比較した結果、よく噛むことにより、満腹に達するまでの食事量が有意に低下し、そのことによって食後のインスリンの分泌量が低下することが示された」とし、意識的によく噛むことは、健康的な食べ方につながることを報告した。


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