「歩行能力の維持」で、打ち出している企業については呼び出しは行っていない、という現状もある。
これについても薬事法ドットコムの独自調査によると、某医薬品メーカーが厚労省に「歩行能力の改善は医薬品的効果であり薬機法違反と指摘したことが発端だと推測されている。そのため「歩行能力の維持」であれば問題ないのではないか、という。
消費者庁、より専門的な差し戻し
他にも、「アフリカンマンゴノキ抽出物エキス」「イチョウ葉エキス」「乳酸菌の死菌」についても呼び出しや差し戻しの事例があった。
最近は消費者庁も、より専門的な差し戻しを行ったり、原料そのものや、SRの論文の中身についてまで指摘するようになってきているのがここ1年ほどの傾向だ。
これは3年前のSRをそのまま使い回しているケースに多く見られる。SRを使いたいとしても、新たに再構築して最新のものにアップデートする必要があると言い換えられる。
消費者庁も制度をブラッシュアップし、厚労省・多数の消費者団体などから不備指摘されないようにしなければ、制度そのものが尻すぼみになってしまうことも考えられるため、真剣に行っている。
3年前に比べ、「受理」に至るまでにはどうしたら良いかをアドバイスし、チェックもきめ細かくより徹底している。
企業から「機能性表示を取得しても商品が売れない」といったネガティブな声があると、消費者庁にもデメリットとなる。
そのため、消費者庁としても企業に寄り添いながら、制度をブラッシュアップしたいのではないか、と鶴岡氏。
諦めなければ糸口は必ず見つかる
機能性表示を取得したからといって、確かにそれが売り上げを保証するものにはならない。しかし、この3年を振り返ると、「新規のヘルスクレーム」または「新成分」であれば必ずヒットしている。
また、例えば薬事法ドットコムでも協力した「プラズマローゲン」は、3年の期間と7回の差し戻しを経ての受理だったが、やはり「諦めなければ糸口は必ず見つかり突破できる」と感じているという。
特に「健康増進法」を考慮したヘルスクレームになっているか考え直し、SRを作り直す、さらに思い切ってRCTに舵を切ると突破できることが多いという。諦めずに引き続き受理を目指し、業界全体で制度を育てていきたいとした。
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