「歩行能力改善」というヘルスクレームは薬機法の観点から問題があるのではないか、と厚労省が消費者庁に指摘。消費者庁が、該当企業に自主的な判断を促したことから、取り下げが相次いだ。
こうしたことから分かることは、承認済み医薬品の表示と同じ文言があった場合、発揮される機能性が「健康の維持増進」の範囲内であることが明示されていないと医薬品と判断される可能性があるということだ。
「歩行能力の改善」という文言自体がダメというわけではなく、その前後にもっと注釈や文言をつけるべきであった、と小田嶋氏。
今後届出を行う際、承認済医薬品については「医薬品医療機器総合機構」のサイトなどで確認しておくことが必要であろう。
消費者庁のスタンスとして「受理された機能性表示だからといって消費者庁が合法性を確認したものではない」と明確な立場表明をしているが、その一方で、「今回の件がきっかけとなり、すでに届出られている機能性表示を薬機法の観点から洗いざらい見直すことは行わない」としている。
つまり、消費者庁に受理されるかどうかだけでなく、消費者団体から指摘されないか、薬機法違反にならないかなどを各企業が積極的に調査し、届出や販売を行う必要がある、ということだ。
食品成分を人々の健康に最大限活用
機能性表示食品制度は3年が経過し、概ねスタンダートが構築されつつある。これまで課題とされてきた項目についても検討や対策が取られつつあり、業界団体としても消費者庁に引き続き制度の課題点の要請を行うほか、業界自主基準化の議論を重ねたい、と小田嶋氏。
機能性表示食品以外にも、健康食品全体の問題や課題がいくつも残っている。例えば「トクホ」については機能性表示食品制度の開始により、申請件数が著しく低下している。また、栄養機能食品については制度の認知が低く、あまり活用されていない。
またビタミンC、D、Eについては機能性表示に関する要望書を産業協会も提出している。特別用途食品についても市場が確立されておらず、制度も活用されてない。「いわゆる健康食品」の中には悪質な広告も散見される、など。
健康食品産業協議会としては、目標とする「食品成分を人々の健康に最大限活用し、世界中で健康食品が利用され、健康長寿社会の一翼を担う、その先頭を日本が走る」ということを目指し続け、引き続き活動していきたいとした。
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