老化防止に深く関わる腸内細菌、
乳酸菌など期待される病気予防効果


平成17年10月13日(木)、浜離宮朝日ホールで「老化防止と乳酸菌」と題したスローエイジング・セミナー(主催:健康事業総合財団 東京顕微鏡院)が開催された。当日、 発酵食品の研究家として知られる小泉武夫教授(東京農業大学応用生物科)らが乳酸菌の有用性などについて講演した。
21世紀は腸内有用菌で病気を予防する時代

冒頭、主催者の健康事業総合財団 東京顕微鏡院理事長の下村満子氏が、「最近特に、免疫機能を高めたり、健康維持ということで乳酸菌の働きが注目されている。乳酸菌はヨーグルトなどに含まれ、古くから親しまれている。日本は昔から味噌や醤油で乳酸菌には恵まれている。21世紀は、体内の乳酸菌で病気を予防する時代といわれている」と挨拶。

その後、発酵学の第一人者として知られる小泉教授が、「乳酸菌と私たちの食生活」と題して講演。「地球上には100兆匹といわれるほど非常にたくさんの微生物がいる。発酵食品の微生物は体内でビタミンや栄養成分を作る。漬物は乳酸菌の宝庫。味噌に活性酸素を抑制する作用があることもわかっている」と述べた。

パネリストトークでは、神谷茂教授(杏林大学医学部感染症)が「プロバイオティクスの医学への応用」と題して講演。乳酸産生菌(ラクトバシラス、レンサ球菌、ラクトコッカスなど)、ビフィズス菌などプロバイオティクス(「健康のために」が語源)と呼ばれる微生物の働きについて解説した。

この中で、大腸菌やサルモネラなどが原因とされる下痢症の防止について報告。日本では年間1200-2000万人の海外旅行者がいて、うち20-50%が下痢症に罹患するといわれるが、プロバイオティクスは高い防止効果をもたらすとした。さらに、尿路感染症の防止、アトピー疾患や細菌性膣症などの産婦人科疾患などへの有用性についても報告した。

また、料理研究家の枝元なほみ氏が「おいしい菌とのつきあい方」と題して講演し、腸内の有用菌産生に役立つぬかみそやヨーグルトの作り方を紹介した。


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