現行の社会保障制度に問題
江崎氏は、私たちは必要以上に「高齢化」を問題視し、とらわれすぎている、と指摘する。
日本は「超」高齢化社会を迎えているが、世界でも「超」高齢化なのが日本、イタリア、ドイツ。
2060年に高齢化率35%を超える日本は、「超々」高齢化社会になると予測されている。
とはいえ、65歳以上の人口は今後横ばいで、高齢化の問題は高齢者の増加より、若年層の減少にあることをまずは理解してほしい、と江崎氏。
また、現在の制度にも問題がある。現行の社会保障制度はバブル経済以前に作られた「19世紀型」のもので、21世紀の今にはマッチしないという。
高齢者の定義、再定義を
しかし、例えば高齢者の定義を65歳ではなく75歳以上、あるいは85歳以上に再定義し直すだけで、高齢者を支える層の割合は増え、現行の制度でも十分まかなえる、と江崎氏。
「70代になっても働くなんて」という声も聞こえてくるが、内閣府の高齢者調査によると、現在、男女ともに80歳近くまでは、大半の高齢者が身体的に健康な状態を維持しているという。
誰もが健康で長生きすることを望み、それが可能になれば、社会は必然的に高齢化する。
かつては栄養不足・飢餓・不衛生・戦争などによる感染症や怪我によって命を落とす人がほとんどであった。しかし、高齢化社会を迎えている先進国では、飢餓や感染症で命を落とす人はほとんどいない、と江崎氏。
高齢者の多くが「尊敬」を望んでいる
疾病の原因は食べ過ぎや偏食、運動不足、ストレス、老化であり、疾患の性質が大きく変わっている。このことを踏まえた治療法や治療薬の開発が必要であろう。
生活習慣病のウエイトが高まる中、予防や進行抑制の医療システムの確立が求められる。具体的には、生活習慣型・老化型の疾病の原因は感染症と異なりマルチファクターである。
治療は完結するものではなく継続性が求められる。病名がついてから治療ではなく、病名がつく前から生活指導を行うといった医療に移行する必要がある。
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