コロナ禍をのりきるOYATSU(おやつ)とは〜ウェルネスライフジャパンシンポ

2020年7月17日(金)、ウェルネスライフジャパンによるOYATSUオンラインシンポジウム「テレワークで需要の拡大が予想されるOYATSU市場 〜ニューノーマル時代の味と香りの最新情報〜」が開催された。この中から、米谷俊氏(近畿大学農学部 食品栄養学部)による講演「コロナ禍をのりきるOYATSUはあるか?」を取り上げる。


「コロナ太り」で生活習慣病に

米谷氏は毎日歩数のログを取っており、1日1万歩で480kcal消費になる。

しかし現在は、コロナによる在宅ワークで、1日4000歩程度で193kcalしか消費できない。

これまでの通りの食事量で、歩数36%減の生活だと一年後には4kgは体重が増える計算になるという。

今、こうした「コロナ太り」を経験している人が増えつつある。ある報道では「運動量が減少し、食事回数が増加している」人が増えているという。このままいくとコロナだけでなく生活習慣病も拡大することが予測される。

コロナ禍で「緊張」と「緩和」のリズムに乱れ

さらに、コロナにより「緊張」と「弛緩」のバランスの乱れも生じている。私たちの生活は「緊張」と「緩和」の繰り返しである。

例えば、1日の中で、食事をし仕事をする。入浴やアルコールでリラックスする。といったふうに、緊張と弛緩を繰り返すことで自律神経系がバランスを保っている。しかしテレワークではこの「緊張」と「緩和」のリズムが生まれにくい。

コロナ禍で、健康な人にも降りかかってきた新たな問題点は「1、運動量が減っているのにカロリー過多になりがちである」こと。「2、生活の中で緊張と緩和がうまくできない」ということではないか、と米谷氏。

栄養状態の悪化が懸念

特に「2、生活の中で緊張と緩和がうまくできない」については、気持ちがだらりとしすぎ、テレワークの際にうまく集中できない。こうした2つの問題を解消するのに「おやつ」をうまく活用することができるという。

日本栄養・食糧学会でも「自粛で長く住居内で過ごさざるを得ず、栄養状態の悪化が懸念される。これを防ぐには 適正な栄養を通して抵抗力を高め、新型コロナウイルス感染症から身を守ろう」と提言している。

具体的には、正確な情報に基づいて適切な行動をとること、食事の前の手洗いなどの衛生を徹底すること。

また、規則正しい生活とバランスの良い食事を心がける(子供たちのお菓子の食べ過ぎや運動不足、糖質の取り過ぎなどに注意すること)、高齢者のフレイル予防を心がける、その他、糖尿病や腎臓病などの疾患がある人は栄養の取り方について、主治医とよく相談して取り組む、などを発信している。

GABA入りおやつ、ストレス低下や集中力アップ

米谷氏が開発に関わった機能性表示食品「GABA入りチョコレート」。これには「ストレスを低減」「血圧を穏やかに」「睡眠の質を高める」といった機能性が報告されているという。

例えば、チョコレートをコロナ禍ではどう活用できるか。

「GABA入りチョコレート」を摂取すると副交感神経が優位になり、血圧を下げ、ストレスが低下することが確認されている。また、集中力が高まり計算ミスなどが減るといった研究報告も多数ある。

GABAと集中力の関係についてはまだ研究の余地がある。しかし、複数の研究で「GABA入りチョコレート」の摂取で学習ストレスが軽減し集中力が高まることが報告されている。

コロナ禍で慣れないテレワークのストレスや在宅ワークで気合が入らず集中力が低下していると感じる時に、こうしたおやつを食べるのも一つではないか、と米谷氏。

コーヒー、コロナ禍に相性が良い

また、コーヒーの機能性についても、コーヒーの香りは口腔と鼻腔からすぐに脳に刺激を与え、副交感神経を優位にするが、コーヒーに含まれるカフェインは消化管に入り約30分後に脳の交感神経を優位にする。

この時差をうまく使えば、食後にコーヒーを飲むことで、まずリラックスし、30分後に集中力を高めることができる。近年はコーヒーの香りを目的によって使い分ける研究もある。

例えば、ブルーマウンテンやガテマラ、などのコーヒーにはより高いリラックス効果が確認されている一方で、マンデリンやハワイコナの香りはリラックス度がやや低め。

コーヒー豆の種類や香りを使い分けられるようになれば、より効果的に「緊張」と「弛緩」を食でアプローチできるのではないか。

近年のコーヒー研究によると、コーヒーを摂取する人はそうでない人に比べ、自律神経活性度やエネルギー消費量が高いこともわかってきている。コーヒーはコロナ禍に相性の良い食品の一つと言えるのではないか、と米谷氏。

他にも例えば、おやつ(間食)に高タンパクヨーグルトや食物繊維の多い食品を摂取すると夕食の摂取量が減らしやすいといった事例もある。

このようにおやつもコロナ禍に上手に取り入れることができれば、摂取カロリー過多の問題にもうまくアプローチできるかもしれない、と米谷氏はまとめた。


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