また、歯周病の治療にDHAを服用すると治療効果が高まるという研究成果もある。ビタミンDには体内で天然の抗生剤と言われるディフェンシンなどの分泌を行う役割がある。ビタミンDの摂取で歯周病に対する抗菌作用が増加することが試験管試験でも報告されている。
さらに、亜鉛にも多彩な生理活性作用が報告されている。亜鉛は特に口腔内の健康と密接に関係しており、亜鉛が欠乏すると食欲不振、味覚異常、口腔内の感染症リスクアップなどが起こることもよく知られるようになっている。
慢性的歯周病の人はそうでない人と比較すると、亜鉛欠乏になっているケースが多く、亜鉛も歯周病の治療に使える。さらにラクトフェリンが歯周病菌の増殖を抑制することも認められている。
唾液の減少、虫歯や歯周病に
口腔内の乾燥も加齢によって起こりやすくなるが、唾液量が減り乾燥すると口腔内の洗浄能力は低下する。これは口腔内の抗菌物質が加齢とともに減っていることを意味する。
唾液の量が減少すると、唾液の量に依存する多くの成長因子(EGF、NGF、BNDF)も減少する。その結果、虫歯や歯周病になりやすいだけでなく、消化吸収能力が低下し、免疫力が低下し、滑舌が悪くなる、義歯の安定が悪くなるといった問題も生じる。
歯周病抑制、抗酸化物質を減らさないことが必要
唾液の量は十分であることが望ましいが、唾液線は酸化ストレスに弱く、体内の酸化が進むと唾液の分泌量が低下する。そのため、抗酸化物質のコエンザイムQ10の摂取で唾液を増やすという研究もある。
そのメカニズムはわかっていないが、唾液を作るのにもエネルギーがかなり消費されるため、そのことと関係している可能性も高い、と森永氏。
歯周病を抑制し、唾液を十分に分泌させるためには、抗酸化物質を減らさない仕組み作りが必要となる。
これにはビタミンC、DHA 、ビタミンD、亜鉛、コエンザイムQ10、ラクトフェリンといった、複数の成分を複合的に組み合わせた口腔内専用のサプリメント設計が効果的なのではないか、とまとめた。
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