このマーケティング戦略を「STP」=「segmentation(市場の細分化)」「Targeting(標的市場の決定)」「Positioning(ポジションの明確化)」 という。
こうしたことを厳密に行った上で、いわゆる4C「プロダクト・プレイス・プロモーション・プライス」戦略を行うのがブランド戦略として最も効果的である。
機能性表示食品、提案型コピーで差別化
現在、機能性表示食品は3400商品を突破し、差別化が日に日に難しくなっているという現状がある。
機能性表示食品の中でも、最もブランディングに成功したとされる商品の一つにファンケルの「えんきん」がある。この商品の優れた点は「手元のピント機能の調整」を前面に打ち出したところにある。
アントシアニンなどの機能性成分が目に効果的であることは、すでにある程度知られている。しかし、その成分の良さを打ち出すのではなく、エビデンスとともに「手元のピント機能の調整」というコピー(機能性)を前面に打ち出した。
こうしたことで「老眼を認めたくない世代、遠くと近くの切り替えが難しいだけ」という多くの人々に、不調の改善法の「提案型コピー」として成功した。現在「えんきん」は「スマホえんきん」もあり、横展開でも成功しつつある。
また、「すみやかな睡眠と睡眠の質の向上、起床時の爽快感」というコピーを前面に押し出した、睡眠系の機能性表示食品の一つである「グリナ」も同様である。
これまで睡眠薬を飲んでいた人の多くは「睡眠薬によってスムーズな眠りは得られるが、翌朝の寝起きが悪い、日中にすっきりしない」という共通の悩みを抱えていた。
「グリナ」はそこの改善を提案するコピーにより他社製品との差別化に成功した。
まだ表に出てきていないキーワードを掘り起こす
このように、商品の参入やマーケティングにおいて最も大切なことは、その分野でまだ表に出てきていないキーワードを掘り起こし、提案するような方法で、製品の独自性を全面に打ち出すことである。
またその独自性が顧客にとってメリットがあり、わかりやすいことも重要。それはすでに売れているものに寄せることでは得られない。
ターゲットが小さいと思われても、ヘルシアの事例のようにある程度ブランドが確立することで信頼を獲得し横展開につながることも多い。このような観点から、機能性表示食品の開発やマーケティングを行ってみてはどうかと提案した。
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