HACCP、2021年6月までに導入義務化
衛生管理の見える化を実現したものがHACCPである。2018年の6月に「食品衛生法等の一部を改正する法律」が公布され、「2020年までに飲食に携わる事業者はHACCPを導入すること」が決定、措置期間があるものの実質2021年の6月までに導入することが義務化されている。
これまでに多くの食品関連事業者がこの法律に基づき積極的にHACCPに取り組み、導入を進めているが、コロナで飲食業界のあり方が激変、HACCPについても今一度見直すべきではないか、と唐澤氏。
そもそもコロナ前、日本の食中毒はどのような状況だったのか。コロナ前の2019年は日本では微生物(細菌、ウイルス)による食中毒が食中毒全体の半数以上を占めていた。
しかしコロナになってからは、細菌性・ウイルス性由来の細菌性食中毒は減少している。もちろん緊急事態宣言や蔓延防止措置などにおける飲食店の休業や時短営業による部分も大きい。
テイクアウトにおける衛生管理が手薄に
2019年、食中毒の事件数は1061件だったが、2020年は887件と減っている。しかし患者数は13,018人から14,613人と1,600人近く増加している。
この理由については、コロナによって「仕出し」による食中毒が増えているからではないか。
コロナ禍において飲食店が手がけているテイクアウトも基本的には仕出しの扱いになるが、テイクアウトにおける衛生管理が手薄になっているケースが多い。
そもそもHACCP とは危害要因分析(HA)と必須管理点(CCP)のことだが、危害要因にはウイルスなど生物的危害、食器編など物理的危害、農薬などの化学的危害の主に3種類がある。
これらの危害を未然に防ぐために重要な行程について管理基準を設定することでより厳格に管理する必要がある。
HACCP、7原則12手順
このHACCPを構築するための手順は以下の「7原則12手順」から成る。
手順1:HACCPチームの編成
手順2:製品説明書の作成
手順3:意図する用途及び対象となる消費者の確認
手順4:製造工程の一覧図の作成
手順5:製造工程一覧図の現場確認
手順6で原則1:危害要因分析の実施
手順7で原則2:重要管理店の決定
手順8で原則3:管理基準の設定
手順9で原則4:モニタリング方法の設定
手順10で原則5:改善措置の設定
手順11で原則6:検証方法の設定
手順12で原則7:記録と保存方法の設定
今回義務化されているHACCPの導入については原則食品の製造・加工調理・販売を行うすべての事業者が対象ではある。
しかし、すべての事業者が完璧に取り組むことは難しいため「一般事業者向け」と「小規模向け(従業員数50名以下)」の2種類ある。
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