しかし、スマート技術などの最先端技術を農林水産業に導入することで作業の負担が軽減し安全性が向上、さらに環境負荷も軽減するなど様々な効果が期待される。
近年は大規模経営だけでなく中小経営から家族経営までこれらICTの導入が普及しつつある。
しかも日本においてはこれまで現場で培ってきた技術が非常に優れており、この優れた技術を体系化し横展開することで持続可能な農林水産業の実現は十分可能だと考えられる、と坂下氏。
「グリーン成長戦略」を発表
この優れたシステムによって生産される農林水産物を今後はフードサプライチェーンにまで広げていくことも大きな目標の一つである。
例えば、新型コロナで外食・宅配・小売のそれぞれに大きな影響があったが、このような有事の需要変動に即座に対応できるフードチェーンの実現や、生産販売計画の実現なども目指すところである。
また、日本は食料の多くを輸入に依存しているが、例えば、肥料は国内で調達可能な産業副産物を活用することで、低コスト肥料を開発することが可能である。
また家畜の排泄物や食品ロスのリサイクルなどによっても肥料の製造が実現するのではないか、と坂下氏。
SDGsの実現に向けて諸外国でも食料・農林水産業と地獄可能性に関わる戦略が策定されており、特にEUや米国では具体的な数値目標も設定されている。
この流れの中で、日本も2020年10月「2050年カーボンニュートラル」宣言を行なっており、農林水産省は14の産業分野において具体的な目標と数値、政策を作成し「グリーン成長戦略」として発表している。
「みどりの食料システム」で輸入に依存しない産業基盤を構築
さらにこの戦略の先に「みどりの食料システム」がある。みどりの食料システムでは「農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現」「ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発に夜化学農薬の使用量を50%低減」する。
また「2030年までに食品製造業の労働生産性を最低3割向上」「日本うなぎ、クロマグロ等の養殖において人口種苗比率100%を実現」など、中長期的な視点から調達・生産・加工・流通・消費すべての段階にいてカーボンニュートラルを中心とした環境負荷軽減のイノベーションを推進することを目標としている、と坂下氏。
「みどりの食料システム」が実現すれば、経済的には輸入に依存しない国内生産を中心とした持続的な産業基盤が構築される。
また、社会的には国民の豊かな食生活だけでなく地域の雇用や所得が拡大、そして地球環境の安心した未来の継続が期待される。
2021年度はまだ取り組みのスタート段階であるが、2050年には廃棄物ゼロ=ゼロエミッションを実現させることを目標に、各分野だけでなく消費者一人ひとりも巻き込み、大きなムーブメントとして1歩1歩実現に向けて取り組みたいと話した。
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