中でも目の疲労感対策、肌の潤い、目や鼻の不快感、体脂肪対策など、これまで乳酸菌の代表的機能と考えられてきた「整腸・便通」以外の機能が広がっている。
今後も乳酸菌については「整腸・便通」以外の機能性に注目が集まるであろう。その先駆け的存在が「プラズマ乳酸菌」で、「免疫機能の維持に役立つ」という機能性表示でキリンホールディングスは2020年12月期に86億円(うちサプリメントが約10億円)のヒットであった。
同じくファンケルからもプラズマ乳酸菌による「免疫サポート」という機能性表示サプリメント(チュアブルタイプ)が2020年の12月に発売されたが、こちらも初月だけで約20万個(3億円超)を売り上げたことが話題になった。
乳酸菌には便通以外の効果があることが十分に市場に認知されてきたことを受け、ヤクルトからは腸内環境改善に加え「ストレスを和らげ、睡眠の質を改善」というトリプルクレームの「機能性表示ヤクルト」を2021年4月に全国販売した。
40代以降を中心に免疫へのニーズが高まる
また健康食品に関するインターネットの消費者調査(2020年末)の結果について、健康な成人男性1773名への調査で、「在宅での健康への取り組み」が増加傾向にあることや「機能性表示食品の摂取」も増えている。
健康な成人女性1651名への調査でも、サプリメントや機能性表示食品の摂取がやはり増加傾向にあることが確認できた。
また男女問わず、40代以降を中心に免疫へのニーズが高まり、20〜40代の若年層は睡眠やストレスへのニーズが高くなっている。
筋力の増加についてはどの世代も高いがやはり40代以降はかなり高いニーズがある。
健康食品の摂取状況については年代が高いほど毎日摂取している割合が増え、60代以降の3割が「毎日摂取」と回答している。
若い世代でも摂取の意識が高まっており、乳酸菌のサプリメントだけでなくドリンク類が定番になっている。
コロナ以降、健康食品利用の増加が予測
また男性の場合は乳酸菌以外に亜鉛、マルチビタミン、プロテインが人気素材で、女性においては乳酸菌以外にビタミンCやコラーゲンが突出している。
今後の市場予測としてはやはり緩やかな成長か横ばい以上で推移すると考えられる。
コロナウイルスの感染拡大を契機とし、自らの健康への意識は高まり、またその補助手段として健康食品を活用する人が増えることが予測される。
またトレンドとしては、「免疫」に対する需要がさらに高まり、「腸と免疫」「腸と免疫とストレス」といった関係が多くの消費者に周知されてきている。
このことからやはり素材としては「乳酸菌」また、ヘルスクレームとしては「免疫」や「ストレス」「睡眠」など生活のリズムを整えることで免疫を高めていこうという意識がますます高まるのではないか。
機能性表示食品の開発がヒットの鍵に
また、リベンジ消費が起こることも当然予測される。マスクを外した後の美容やアンチエイジング、アルコール、外食対策、スポーツニュートリションの需要が高まるのではないか。
そしてアジアを中心にメイドインジャパンのサプリメントのニーズは引き続き拡大すると考えられる、と飯塚氏。
これらの市場動向からわかることは、消費者はサプリメントには一定の機能性を求めていて、一般食品には味覚を求める傾向が高い。
そのため、毎日継続して摂取したくなるパッケージや価格などの機能性表示食品の開発がヒットの鍵となるのではないか。
また機能性表示食品があることでサプリメントの利点も明確になり、消費者は用途やニーズに応じて使い分けられるようになっているため、そのあたりも考慮した製品開発をすると良いのではないかとまとめた。
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