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2023.3.20ヘルスクレームの国際比較第二回「ヘルスクレームの国際比較と研究論理の重要性」

機能性食品の海外展開を考えた場合、必ず障壁となるのが各国のレギュレーションであるが、展開先によって異なる法律などのレギュレーションに対し、どのように対策すべきかについて、株式会社グローバルニュートリショングループ・株式会社アイメックRD・CPCC株式会社の3社によって共同セミナーが開催された。このセミナーは全8回シリーズであり、2回目の今回は「ヘルスクレームの国際比較と研究倫理の重要性」がメインテーマとなった。ここでは株式会社グローバルニュートリショングループの代表取締役武田猛氏の講演を取り上げる。

株式会社グローバルニュートリショングループ 武田猛

国内で製造した機能性食品を海外でも展開しようと試みた場合、「①成長している市場なので」「②市場規模が大きいから」「③ヘルスクレームが可能だから」「④日本の技術や品質が優れているから」「⑤メイド・イン・ジャパンは信頼性が高いから」といった、単純な理由だけで展開を考えるとたいてはうまくいかない、と武田氏。海外で商品展開をする場合に、考えなければいかない項目は大きく7つ。「1、消費者」「2、市場」「3、バリューポジション(独自の提供価値)」「4、技術・知的財産」「5、チャネル」「6、法規制」「7、参入オプション」となるが、中でも「6、法規制」については多角的に研究してから市場参入に臨む必要があるだろうと話す。

法規制については、各国でレギュレーションが異なるのは当然であるが、大前提として「コーデックス(CODEX )」について理解しておく必要があるという。なぜなら、現在世界的に通用する食品規格はコーデックスのみだからだ。コーデックス規格は1962年に国連の専門機関である国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が共同で作ったものである。コーデックス規格からは「栄養及び健康強調表示の使用に関するガイドライン」についても出ており、「栄養強調表示は国の栄養政策と一致し、その政策をサポートするものでなければならない。国の栄養政策を支持する栄養強調表示のみが許可されるべきである」と定義付けている。つまり、コーデックスが「各国の栄養政策にあったものを」と提唱しているのだ。さらにコーデックスでは健康強調表示について3つのカテゴリーを設けている。その3つとは「栄養素機能強調表示=身体の成長、発達、正常な機能における栄養素の生理学的な役割を表す」「その他の機能強調表示=栄養素以外の機能表示を表し、身体の正常な機能または生物活性に関連し、その食品成分を摂取することによる特定の有用な効果に関与する表示」「疾病リスク低減強調表示=食生活において、食品あるいはその成分の摂取と、疾病及び健康に関する状態の進行に関するリスクの低減との関係を示す表示」となっている。そして主要各国はこのコーデックスの3区分に準拠した健康食品制度を設けているという流れだ。例えば、日本では「食品表示法」と「健康増進法」という2つの法令が定められているが、そこに入ってくるのがコーデックスの3区分に基づく「栄養機能食品」「機能性表示食品」「特定保健用食品」となる。そしてそれぞれの機能性評価の主体は消費者庁・企業となる。このように、日本はもちろんどの主要国もコーデックスの3区分に準拠してそれぞれの法や制度を作り、さらに評価する機関が異なるという状況がある。コーデックスのこのスタンスを理解すると、なぜ各国のレギュレーションに則るべきかもより理解できるのではないか、と武田氏。では、主要各国はどのような機能性表示制度を運用しているのか。主要各国についてまとめておくと以下のようになる。

【米国】

根拠法令…栄養表示教育法/ダイエタリーサプリメント健康教育法

対象…ヘルスクレームをする食品/ダイエタリーサプリメント

評価の主体…FDA/企業

   

【EU】

根拠法令…食品の栄養及び健康表示に関する法令

対象…ヘルスクレームをする食品

評価の主体…EFSA

【韓国】

根拠法令…健康機能食品法

対象…保健食品

評価の主体…MFDS

【中国】

根拠法令…食品安全法

対象…保健食品

評価の主体…CFDA

【台湾】

根拠法令…健康食品管理法

対象…健康食品

評価の主体…TFDA

【ASEAN】

根拠法令…ASCSQ/TMHS/PWG

対象…ヘルスサプリメント

評価の主体…ATSC

この理解ができた後に、さらに各国のサプリメントの定義について理解する必要がある。例えば米国はサプリメントについて「一般的な食品、または単独で食事として用いられるものではない」としているし、EUは「通常の食事を補足する目的で摂取するもの」、ASEANは「食事を補完し、人の健康的な身体的機能を維持、強化、または向上させる目的」といった感じで、ほとんどの国が通常の食事を補助するための食品と位置付けていることにも注意しなければならない。どの国であっても「これだけ摂取すれば」「これで治る」といったものは存在しない。そしてこれらの土台に立った上で、最も重要になるのがエビデンスだ。

科学的根拠の強度については、「ナチュラルメディシン・データベース」と「ナチュラル・スタンダードによる有効性評価ハーブ&サプリメント」、など参照するに値するデータベースが複数存在しているが、最も最新で権威のあるデータベースは「ナチュラルメディシン・データベース」と「ナチュラル・スタンダードによる有効性評価ハーブ&サプリメント」が合併した「NMCD」が6段階で発表している「1、Effective(効きます)」「2、Likely Effective(おそらく効きます)」「3、Possibly Effective(効果の可能性が科学的に示唆されています)」「4、Possibly Ineffective(効かないかもしれません)」「5、Likely Ineffective(おそらく効きません)」「6、Ineffective(効きません)」で、この評価で最低で3以上のレベルを目指すことで日本以外の国でも展開しやすくなるという。ちなみに「3、Possibly Effective(効果の可能性が科学的に示唆されています)」では、「評価の高いレファレンスが1つもしくは2つの臨床試験において、特定の効能で有効性が認められ、適切な臨床試験の意義を評価するための評価項目において、肯定的結果が得られたもの」とされている。

このように、コーデックスの理解に加え、販売チャネル(国)のレギュレーションを学び、さらにその国で通用するエビデンスを揃えるというステップを踏んでほしいと話した。

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