新谷:腸相が良くないと、お腹を触った時、圧痛点があったり、緊張が強くて腸がキューとしたり、触るとコロコロしたりします。また、ガスや便がたまりやすくなります。膨満感もあります。おならのにおいが強かったり、便の臭いも強いとか、便の性状で、黒い便とか、水に沈む便とか、血が混じったりもします。
一番良いのは、内視鏡で腸の中を見ることです。そうすると、動物食の食べ過ぎとか、植物食が足りないとかわかります。そうした腸相のことまで、今のドクターは言いません。ですから病気の予防にならないのです。
私は、30万人くらいの人の腸相を見てきた経験から、どういうものを食べたり飲んだりしているとこういう腸相になると言います。食歴を聞いて、病気との相関をはっきり言います。今の食事だと、10年、20年先に大腸がんや胃がん、前立腺がんや乳がんになったりしますよと言います。
毎日肉を食べていると、憩室といって腸にポケットができます。腸にできる前に筋層といって筋肉の中に、腸壁の中に縦走筋、縦に走っているのと、輪状筋、周りに走っている筋肉がありますが、それがものすごく硬くなってきます。そういうふうになって腸が痙攣すると、腸の中の圧が高くなり、憩室ができます。
ところがそうしたことは本には書いてありません。私はそういうことを多く観察しています。肉類、乳製品をたくさん食べると左側のS字結腸、下降結腸に憩室ができます。左側の下腹部が痛かったりしますと、便秘がちで、肉食過多であることがわかります。
白米とか白パン、白うどんをたくさん食べると右側の大腸(上行結腸・盲腸部)部に憩室ができます。ご飯をたくさん食べますと、右側の大腸の内圧が高くなって、便を虫垂のほうに押し込んでしまいます。そうすると虫垂炎になりやすいです。
日本が昔、虫垂炎になりやすかったのはそのせいです。今はあまり虫垂炎はありませんが、これは動物食のほうがものすごく多くなって、食物繊維が少なくなり、右側に腸圧があまりかからなくなったためです。
年齢より若くみえる人は腸相が良い
人種にかぎらず、老けてみえる人、若く見える人がいます。同い年なのに、なぜそうなのか、それは腸相をみたらわかります。老けて見える人は腸相も老けています。
それから、玄米を食べるというのはどういうことかというと、りんごでも皮をむいたままだと酸化して真っ黒になりますね。
玄米も皮をかむっている時はまだ生きていますが、皮をいったん剥いて、白米にしたとたんに酸化してサビついてしまいます。また、食べ物、水だけではなく、排泄も良くしなければいけません。女性で便秘の人が多いですが、コーヒー浣腸で腸の中の毒素を溜めないようにして、排泄を良くすることが大切です。
住んでいる国や場所で、土壌の栄養成分の含有量が異なる
サプリメントを摂るのも非常に大切なことです。例えば、ほうれん草にしても今のほうれん草は私の子供の頃と比べて、8分の1しか鉄分が入っていません。今の子供たちが8倍の量のほうれん草を食べるかというとそういうわけではありません。カルシウムにしても同様に少なくなっています。
土壌のミネラルの含有量というのは国や場所によって全然違います。抗酸化物質とかセレンとか、ビタミンA、E、Cとか亜鉛とか、土壌から入ってくるものでも、場所によって全然違います。
私は、アメリカと日本に住んでいますが、ブロッコリーにはカルシウムがたくさん入っていて(牛乳100gに入っているカルシウムは100mgです)、アメリカのブロッコリー100gの中にはカルシウムが178mg入っています。ところが日本ではそんなにカルシウムが入っていません。日本のブロッコリーには100g中に54,5mgしか入っていません。
日本の栄養学はアメリカと比べて相当遅れている
そして、腸の中でどれくらい消化吸収されたかが、問題であって、カロリー計算ではダメなのです。アメリカが何でもいいというわけではありませんが、日本の栄養学はアメリカと比べ20〜30年以上遅れているといわれています。カロリー計算といっても、どのようにして食べるか、いつ食べるか、何十回噛むか、誰と食べるか、といった精神的肉体的条件によって、栄養成分の吸収率が全然違ってきます。ですから、例えば、糖尿病の患者さんに全て同じように1500カロリー摂らせることほど無意味なことはありません。
----「食」に関して、日頃どのようなことに心がけていればよろしいですか
新谷:今は、植物の抗酸化ビタミンも非常に少ないため、私たちの身体の健康を保つレベルが非常に落ちています。人間の身体は免疫系統、神経系統、ホルモン系がきちんとしていることが一番大切で、これらの恒常性(ホメオスタシス)が保たれないと健康が維持できません。
また、交感神経ばかりが高まるような生活を送っていると、自律神経失調症になります。免疫力を発揮するためにはいろいろな体内酵素がものすごく使われます。そのため、そういう免疫力をつけるためにもいろいろなサプリメントを摂ることが必要です。私は、バイオブランも好んで使っていますし、がん患者さんにはとくにすすめています。
免疫力のある体を作るためには、土壌からきちんとしなければダメ
本来、免疫力のある体を作るのは土壌からきちんとしなければダメなのです。農業と医学というのは切り離しては考えられません。ちゃんとしたものを作ってそれを人間が食べなければ、健康とか、免疫とか、抵抗力とかを論じても無意味なのです。
それから、浄水器でちゃんとした水を飲み、サプリメントも良いものを摂れば、抵抗力がつき、病気にもならないようになりますし、腸内細菌も良くなります。良い腸相、腸内環境を作ることが健康のカギです。
食事と水と排泄と運動、そして精神面も大切です。趣味を持って、ハッピーな状態であること。心の充実感は健康であるための重要な要素です。