【 2012/12 】

オメガ3脂肪酸、前立腺の健康維持に有用

12月6日、厚生労働省が「平成23年国民健康・栄養調査結果の概要」を公表した。調査は、平成23年11月に、平成23年国民生活基礎調査で設定された単位区(岩手県、宮城県及び福島県の全域を除く)から無作為抽出した300単位区内の5,422世帯を対象に実施。有効回答3,412世帯を集計した。

結果、経済的な理由で野菜・果物などの生鮮食品の購入を控えている人が3割にのぼることが明らかになった。全体的には、10年前の平成13年と比べ、野菜類、果物類、魚介類の摂取量が減少し、肉類の摂取量が増加。年代別では、とくに20〜40歳代で野菜類、果物類、魚介類の摂取量が少なかった。

調査から、若年層の野菜・果物の摂取不足が懸念されるが、2012年11月29 日(木)、慶応大学三田キャンパスで、「AMI研究会シンポジウム〜機能性食材の研究はここまで進んだ」が開催。この中で、坪田一男氏(慶応大学医学部眼科学教室)が若年層の間で増加している目の疾患、加齢性黄斑変性の原因として「野菜や果物などの抗酸化成分の摂取不足」と「ブルーライトの影響」が考えられるとしている。 

加齢性黄斑変性が野菜や果物の摂取不足が関与していることはさまざまな報告でも指摘されているが、加えて、「ブルーライト」とは一体どのようなものか。 現在、世界中でLEDライトの普及が急速に進んでいる。実は、このLEDライトからは大量のブルーライトが放出されている。ブルーライトは波長が短く、網膜への負担が大きい。網膜の組織に入ると、大量の活性酸素を発生させる。加齢性黄斑変性は活性酸素による攻撃でもたらされるが、ブルーライトによるダメージも大きいという。

また、肉類が増加し、魚介類の摂取量が減少しているという状況は、生活習慣病予防の観点からも好ましいものではない。若者の魚離れは指摘されて久しいが、青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸の有用性については世界的にも研究が盛んで、日本の寿司はヘルシーともてはやされている。

オメガ3脂肪酸に関する最近の研究報告では、オメガ3脂肪酸は前立腺の健康維持に有益であると、British Journal of Nutrition誌12月12日号で報じている。 前立腺癌検査では、腫瘍マーカーとしてPSA(前立腺特異抗原)値を調べるが、イランの研究者グループが、男性504人を対象に、オメガ3脂肪酸又はプラセボを12週間投与したところ、オメガ3脂肪酸投与群は、PSA値が30%低下していることが分かったという。


また、オメガ3脂肪酸は不安リスクの低下に有用と、British Journal of Nutrition誌12月11日号が報じている。 Deakin UniversityおよびUniversity of Melbourne研究者グループが、20歳から93歳の女性935人を対象に、オメガ3脂肪酸の摂取状態を調査したところ、不安障害リスクの50%低下がオメガ3脂肪酸摂取で認められたが、最多摂取群では、抑うつ症状が約70%減少したことが分かったという。

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