【 2013/10 】
レスベラトロール、脂肪細胞の縮小に有用
今年5月半ば、日本糖尿病学会と日本癌学会の研究で糖尿病の患者はがんリスクが1.2倍高いことが報じられた。肝臓がんや膵臓がんも2倍程度高くなるという。
加えて深刻なのは、日本で体重が1.5kg未満で生まれる低体重出生児が増えていることである。妊娠適齢期女性の過激なダイエットによる「栄養不良」や「喫煙」が要因に挙げられているが、低体重出生児は成人後、糖尿病などの生活習慣病を発症しやすいという説がある。
実際に、今年6月に厚生労働省研究班が、体重が1.5kg未満の低体重出生児の3割近くが成人後に痩せ過ぎや糖尿病になりやすい傾向にあることを公表している。
まさに糖尿病対策は急務だが、10月31日付けの朝日新聞で、東大の門脇孝教授(糖尿病・代謝内科)らの研究チームがマウス実験で糖尿病を防ぐホルモンの働きを活発化する物質を発見したと報じている。
このホルモンはアディポネクチンという物質で、脂肪細胞から分泌され、脂肪の燃焼やインスリンの働きを促進する。門脇教授らは、アディポネクチンの受容体を活性化させる受容体を見つけ、これを飲み薬として2型糖尿病のモデルマウスに1日1回、10日間与えたところ、与えないマウスに比べ、インスリンが効きやすくなった。また、筋肉や肝臓で脂肪酸を燃やす酵素が活発になったという。
肥満はメタボや糖尿病の温床となりやすいが、最近の報告では、赤ワインに含まれるポリフェノールのレスベラトロールが脂肪細胞の縮小に有用とInternational Journal of Obesity誌2013.10月号で報じている。Maastricht University Medical Center、Wageningen University(オランダ)研究者グループが、肥満だがそれ以外は健常な被験者11人を、レスベラトロールサプリメント(150mg/日)投与群とプラセボ投与群とに分けた。その結果、30日後に、レスベラトロール投与群は大型および超大型脂肪細胞の数が減少し、小型脂肪細胞が増えていることが分かったという。