【 2013/12 】
オメガ3脂肪酸、加齢黄斑変性疾患の改善が期待
ゲームやスマートフォンの影響なのか、若年層の視力低下が進行している。
文部科学省発表の学校保健統計調査(満5歳〜17歳を対象)で、裸眼の視力1.0未満の割合が高校生で65.8%に達することが明らかになった。
調査を始めた1979年以来最多の更新となった。
ところで、2013年12月9日(月)、築地・浜離宮朝日ホールで、「朝日・和食フォーラム」が開催された。「和食」は先頃、「世界無形文化遺産」として認められたが、フォーラムでは江原 絢子氏(東京家政大学名誉教授)が、「日本人が育んできた和食」と題して、「和食」の魅力を取り上げた。
「和食」といえば、日本人が伝統的に摂ってきたのが、穀物と魚である。戦後、食の欧米化が進み、米離れ、魚離れが進んだことが指摘されているが、若年層の視力低下は魚離れが一つの要因となっているのかも知れない。
魚に多く含まれる、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といったオメガ3脂肪酸が目の健康維持に有用であることが報告されている(American Journal of Clinical Nutrition誌2008.8月号)。
London School of Hygiene Tropical Medicine研究者グループが、新生血管型加齢黄斑変性症患者(65歳)105人と健康体被験者2,170人を対象に食品頻度調査を行ったところ、DHA、EPAをそれぞれ300mg/日以上摂取した群ではそれ未満の群と比較して、新生血管型加齢黄斑変性症のリスクがそれぞれ68%、71%減少することが分かったという。
また、最近の報告では、オメガ3脂肪酸はドライ型加齢黄斑変性への改善効果が期待できると、PharmaNutirition誌2013.11月号が報じている。Ophthalmos Research and Educational Instituteの研究者グループが、ドライ型加齢黄斑変性患者にオメガ3脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)、3.4gとドコサヘキサエン酸(DHA)、1.6gを与えたところ、4.5か月以内に被験者の100%で視力に有意な改善が認められたという。
現在も、オメガ3脂肪酸の有用性については盛んに研究されているが、最近の報告では、オメガ3脂肪酸指数の上昇に関して、有効性が高いのは魚油よりオキアミであると、Lipids in Health and Disease誌2013.12月号が報じている。