【 2014/4 】
ビタミンEのトコトリエノール、脳の健康維持に一役
2014年4月26日(土)、東京国際フォーラム ホールBで、一般財団法人日本消化器病学会主催の「第100回日本消化器病学会総会 市民公開講座」が開催された。記念すべき第100回目のテーマは「新たな消化器病学の展開と医療の在り方をもとめて」。現代人を襲う消化器病の最先端を専門ドクターがわかりやすく解説した。
午前の部の講演では、「今の消化器病とその予防・治療」をテーマに、消化器を4つのパート(消化器上部、消化器下部、肝臓、胆のうとすい臓)に分け、4人のドクターがそれぞれ講演した。
また、午後の部では、「真の医療安全のために 〜医療事故と今日の諸問題」をテーマに高齢化社会が進む医療現場で、患者と医師は、どのような努力と選択が必要か、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏の特別講演やパネルディスカッションが行われた。
この中で、JAFRAでは津久井 拓氏(日本医科大学多摩永山病院 消化器科)による「肝臓の病気と今」を取り上げた。
これまで、長らく男性では肝臓がんが第3位であったが、今では大腸がんが増えて第3位になり、肝臓がんは第4位になっている。これには2000年代からB型・C型肝炎ウイルス除去の医薬品が開発されたことが貢献しているようである。
高齢者人口の増加にともない、今後もがん罹患者の増加が予想される。
また、がん以外に、高齢者の疾患では、アルツハイマーなど脳機能の衰退が懸念される。
脳機能に関する最近の報告では、ビタミンEのトコトリエノールが脳の健康維持に有望であると、Stroke誌2014.4月号に掲載されている。
マレーシアとイギリスの研究者グループが、心血管系にリスク因子があり脳の白質病変を有する35歳以上の121人を対象に試験した研究で、被験者に、トコトリエノール200mgか、プラセボのどちらかを1日2回、2年間投与した。
その結果、トコトリエノール投与群では、白質病変の容量は時間が経過しても変化しなかったが、プラセボ群は段階的に増加したことが分かったという。