【 2014/7 】
DHA(ドコサヘキサエン酸)、歯周病の改善に有用
消費者庁による健康食品の機能性表示の検討が大詰めを迎えている。最終的には、これまで医薬品にしか許可されていなかった、体の部位の健康表記を可能とする方向で進められている。
健康食品の機能性表示の解禁については、安倍政権による国家戦略の一つで、1994年の米国クリントン政権下で施行された健康食品栄養教育法案(DSHEA)を参考に、検討が進められてきた。
2014年7月9日(水)、東京大学で、(公社)日本農芸化学会主催のシンポジウムが開催され、この中で、日本農芸化学会会長の清水 誠氏が講演し、健康食品の機能性表示についてこれまでの経緯を報告した。
機能性表示については、すでにトクホ商品があるが、消費者庁では2011年より「健康食品の機能性評価」を行っていた。そこに清水氏も参画し、市販されている健康食品の中から、著名な機能性成分11種ピックアップしたところ、「かなり効果が期待できる」あるいは「おそらく効果が期待できる」と評価できるものが多くあったという。
米国ではDSHEAの導入により、国民の健康への意識が高まり、年々高騰する医療費が抑制できるものと期待された。DSHEA施行から20年、この間、ハーブサプリメントによる副作用問題などで安全性の強化を求める声が消費者団体から指摘されたものの、米国栄養食品業界も消費者のニーズに答えるべく、良質なサプリメントの開発に邁進してきたといえる。
健康に有益な機能性素材の発掘・研究については、この20年米国でも盛んに行われているが、中でも期待されているのが、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸の有用性。視力改善や認識能力の向上など世界的に進む高齢化への対応素材として市場の拡大が有望視されている。
最近の報告では、オメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)が歯周病の改善に有用と、Journal of Dental Research誌14.7月号で報じられている。
Harvard Medical Schoolなどの研究者チームが、軽度歯周炎成人患者55人を対象に、二重盲検、プラセボ対照試験を行った。被験者には、DHA 2000mg/日か、プラセボ(大豆/コーンオイル)のどちらかを3カ月間与えた。
結果、46人について、DHA投与群は歯周ポケット深さが平均0.29±0.13減少、歯肉炎指数が0.26±0.13減少していたという。