【 2005/8 】
腸内細菌、アトピー性皮膚炎や老化に深く関与
健康維持や免疫機能の強化に腸内細菌が大きく影響していることがいわれている。
7月にJAFRA主催の健康フォーラム座談会「健康長寿の秘訣〜腸内細菌と機能性食品」で、
腸内細菌研究の第一人者として知られる光岡知足氏(東京大学名誉教授)
がパネラーとして招かれ、健康作りや疾患予防に関わる腸内細菌の働きについて述べた。
この中で、光岡氏は、 「腸内に500種類・100兆個の菌が棲み、善玉と悪玉に大別され、そのバランスが老化や病気に関与する」とし、
生まれたての赤ちゃんは善玉菌が多いが、加齢とともに悪玉菌が増え、腸内で悪玉菌が優勢になるにつれ、免疫低下を招き、各種疾患罹患へと
つながっていくことを指摘した。
例えば、近年増加している児童のアトピー性皮膚炎についても、「アトピー性皮膚炎の子供は腸内にビフィズス菌や乳酸菌が少ないことが報告されている」と光岡氏。ヨーロッパのリストニアとスウェーデンの子供との比較調査では、リストニアの子供のほうがアトピーになりにくく、スウェーデンのアトピーになった子供には乳酸菌が少ないことが判った、という。
こうした皮膚疾患と腸内細菌との関係についての、最近の研究は、Archives of Disease in Childhood'05/8月22日号でも紹介されている。
オーストラリアの研究者グループが、生後6〜18ヶ月で中度から重度の湿疹ができている子供53人を対象に、有用細菌であるLactobacillus Fermentumの有効性を調べるために、被験者の半数にLactobacillus Fermentum VRI-033 PCC溶剤を1日2回、残り半数にはプラセボを与え、8週間経過をみたところ、92%に改善がみられ、一方、プラセボグループは63%だったという。
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