【 2014/11 】
プロバイオティクス、体内の水銀デトックスに有望
米国でプロバイオティクスに関する研究報告が相次いでいる。mBio誌2014.10月号では、プロバイオティクスは体内の水銀デトックスに有益であると報じている。
Lawson Health Research Institute、Western Ontario University研究者チームが、とくに環境汚染が進んでいると考えられるタンザニア北西部のマラウイ州ムワンザに住む学童44人、妊婦60人を対象にしたもので、被験者の体内には、カナダ人小児の7倍もの水銀や鉛が蓄積されていたという。
研究では被験者に、ラクトバチルス・ラムノサスGR-1(10CFU/250g)を19日間与えた。その結果、小児には統計学的に有意な有益性は認められなかったが、妊婦は、平均102日摂取後に、水銀の取込みが最大26%、ヒ素が最大で78%抑えられたことが分かったという。
プロバイオティクスはヨーグルトなどの発酵食品に多く含まれる、人に有益な作用をもたらす生きた微生物の総称で、胃腸の健康や免疫力の向上、健康全般において有益な働きをする。
米国ではプロバイオティクスの働きを知っているアメリカ人、とりわけ胃腸にトラブルのある人たちの認知度は高い。アメリカ人の20%がプロバイオティクスを常用しており、29%がヨーグルトや繊維の多い食品の摂取を増やしているといわれている。
アメリカでのプロバイオティクスの市場拡大も期待されており、2010年にはプロバイオティクスの売上げが28億ドルだったが、2018年には48億ドルに上昇するものとみられている。
2014年10月31日(金)、ヤクルトホールで、「第23回腸内フローラシンポジウム」が開催され、腸内フローラに関する最新の研究成果が国内外の研究者らにより発表された。
この中で、竹田潔教授(大阪大学大学院医学系研究科免疫制御学)が「腸内フローラと炎症性腸疾患」と題して講演し、この中で、日本だけでなく、中国や韓国などアジア諸国に共通して見られる現象として、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性の腸疾患の患者が急激に増えていると指摘した。一方、欧米では罹患率に大きな変化は見られないという。
アジア圏の人々の食事内容の変化が腸内環境の悪化を招いていることが考えられるが、そうした腸内環境の改善に今後さらにプロバイオティクスの需要が高まりそうだ。
プロバイオティクスに関する最近の報告では、プロバイオティクスは花粉症の「生活の質」の改善に有用とEuropean Journal of Clinical Nutrition誌2014.3月号が報じている。