【 2005/9 】

子供の精神疾患にオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸が有用

近年、子供の自閉症、注意欠陥多動症、統合失調症などの精神疾患がマスコミで報じられることが増えてきている。こうした精神障害は、化学物質による影響や日頃から栄養成分の補給の仕方に原因があると指摘する専門家もいる。はたして有効な予防策はどのようなものであろうか----。

9月21日付けのMedical News Todayが、魚オイルとプリムローズオイルは注意欠陥多動症(ADHD)の治療に有望であると報じている。Fresh Scientistsプログラムの一環として発表されたもので、University of South Australia and CCIRO Nutritionの研究者グループが、ADHD関連の行動障害を持つ子供145人は、魚オイルとプリムローズオイルを配合したカプセルを与える15週間コースに参加したところ、注意力が増大し、多動や落ち着きの無さ、衝動性が低下したことが分かったという。一方、プラセボグループでは同じような改善は見られなかったという。

ADHDについては、マグネシウム、亜鉛、鉄分がADHD患者には少ないという報告もある。子供のADHD患者116人を調べた研究(1998年) で、うち75人にマグネシウム欠乏が見られたという。また、ADHD患者116人(男子94人、女子20人) を調べた研究(1997年)では、95%にマグネシウム欠乏があった。この他、亜鉛の欠乏も指摘されて いる。患者18人(6〜12歳)を調べた研究(1990年)では、亜鉛濃度が患者ではない子供 より低かったことが分かっている。

この他、大豆ベースの栄養ミルクが関連しているという報告もある(NeuroToxicology誌)。 カリフォルニア大学アーバイン校の研究グループが、大豆ミルクには母乳に比べ80倍 のマンガンが含まれており、そうした高濃度のマンガンがADHD発症に関連すると 報告している。

競争社会といわれる米国ではストレスから鬱傾向になる人々が多いといわれているが、そうした傾向は子供達にまでおよんでいるといえそうだ。
鬱症状については、先のDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸を多く含む魚オイルが有用であることも報告されている。

米国立衛生研究所(NIH)の研究でも、DHAやEPAが脳内物質のセロトニンの分泌に大きく影響を与えることが報告されている。米国で開催されたAmerican Psychiatric Association会合で、魚を多く食べると、鬱症状を起こす危険性が低いという研究が発表されている。フィンランドの研究者グループによるもので、フィンランドの4地域に住む3千204人を対照に、食事や精神面などに関して質問を行ったところ、魚を1週間に1回、あるいはまったく食べないグループを「あまり食べない」に分類(全体の30%)したところ、全体の28%が中度あるいは重度の鬱症状を示していることが分かったという。


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