【 2015/7 】

オメガ3脂肪酸、ビタミンB摂取で脳変性を改善

7月26日、アルカディア市ヶ谷で、「教育と食養が日本を救う〜心の教育と感謝の食事で日本再生」をテーマに、日本統合医学会主催による第1回東京講演会が開催された。

この中で、市立伊勢総合病院の中山尚夫氏が、「輝く生命と医師がすすめる食とは」と題して講演し、牛乳や乳製品など現代の日本食のさまざまな問題点を指摘。日本人が伝統的に摂ってきた穀類や魚の有用性を見直すべきとした。

最近、糖質制限食が話題になっているが、これに長期的な効果は認められず、死亡リスクを有意に増加させるという報告も出ている。また、魚に含まれるオメガ3脂肪酸は摂取が少ないと精子の数が減り、男性不妊症に至るなど挙げた。

また、元衆議院議員の中山成彬氏が「学ぶことの大切さ」と題して講演。食べる物に原因がある。雑穀、みそ汁、野菜、小魚、など日本人の摂ってきた食事が、世界の「食」の中心になるべきと説いた。

日本人の気質は、伝統食である穀類や大豆、そして魚の摂食により形成されたといえるが、そうした「食」の健康効果について、とくに米国で盛んに研究が進められている。

例えば、魚食ではDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸による脳機能の向上などが知られるが、最近の報告では、オメガ3脂肪酸濃度が高い場合に限ってビタミンB摂取は脳変性を改善するということが、American Journal of Clinical Nutrition誌2015.7号に掲載されている。

University of Oxford研究チームが、70歳以上の高齢者168人を調べたVITACOG試験の後向き分析。被験者には、プラセボ、またはビタミンBサプリメント(葉酸0.8mg、B6 20mg、B12 0.5g/日)を2年間与えた。

その結果、オメガ3脂肪酸値が高い場合(590マイクロモール/L以上)、ビタミンB群はプラセボ群に比べ、脳の委縮率が40%遅くなったことが分かった。オメガ3脂肪酸値が低い場合(390マイクロモール/L未満)では有意な変化が認められなかったという。

また、オメガ3脂肪酸はコンピュータ関連ドライアイの軽減に有望。Contact Lens and Anterior Eye誌2015.7号に掲載された。

Laser Eye Clinic研究チームは、最低1年の間にコンピュータを少なくとも3時間/日使う人でドライアイを発症した478人を対象に研究を行った。

被験者には、オメガ3サプリメント(EPA360mgとDHA240mg)か、プラセボ(オリーブオイル)のどちらかを3カ月間与えた。被験者を、ドライアイ症状、ネルソングレード、Schirmer検査などで測定したところ、オメガ3投与群の70%が、症状は完全に消えたと報告した。プラセボ群は14.9%だったという。

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