【 2016/2 】
イソフラボン代謝物のエクオール、心臓病低下に有望
今年1月、米国で「2015年版アメリカ人のための栄養ガイドライン」が米国保健社会福祉局より発表された。5年ごとに改訂される「食」の指針で、生活習慣病を防ぎ、高騰する医療費の削減を目的としている。
現在、米国では子どもの約3分の1、成人の約3分の2が太り過ぎか肥満といわれている。この肥満の解消に米国は懸命になっている。米国で死亡原因のトップである心臓疾患の軽減に繋がるからだ。
ガイドラインでは食のみならず運動の重要性も説き、成人の場合、1週間に中強度の運動を少なくとも150分、筋力運動を2日以上は行うよう奨励している。
「食」による具体的な肥満解消策では、トランス脂肪酸の摂取制限など設けている。昨年6月、米食品医薬品局(FDA)でもトランス脂肪酸が心臓疾患のリスクを高めるとし、2018年6月より食品へのトランス脂肪酸の添加を禁止した。
脂肪は体内のあらゆる部位に蓄積するが、トランス脂肪酸は、不飽和・飽和脂肪酸が分解・代謝された後となり、体内に非常に残りやすいという特性がある。
日頃、総エネルギーの5%をトランス脂肪酸が占めるような食事を持続的に摂っている人は、特に心臓に脂肪酸が溜まりやすくなり、心疾患リスクが上がるといわれている。
心臓病対策に関する最新の報告では、イソフラボンの代謝物、エクオールが心臓病低下に有望だが、効果があるのはエクオールを体内で生成できる人だけということが、American Journal of Clinical Nutrition誌16.2月号で報じられている。
エクオールは、イソフラボンが腸内細菌によって変換されてできる。ただ、体内でエクオールを作ることができる人(必要な腸内細菌を持っている人)は、30〜50%しかいないという。