【 2006/6 】

心血管系疾患の予防にナッツ類が有用

心臓病大国といわれる米国で、心疾患防止に欠かせない食材として注目されているのがω-3系脂肪酸を多く含む魚。「2005年版アメリカ人の栄養ガイドライン」では1週間に8オンスの魚の摂食を薦めている。また、FDA(米食品医薬品局)でもω-3系脂肪酸が心臓病予防に有用であることを認めている。

死因のトップに位置する心血管系疾患の予防に、米国では魚や食物繊維やビタミン・ミネラルを豊富に含む全穀物の摂食を薦めているが、間食では、一価不飽和脂肪を多く含むナッツ類を挙げている。FDAでも、ウォルナッツ商品のパッケージに「ウォルナッツを1日42g食べると心臓病予防に有望(最終的研究結果ではないが補完的研究結果によるもの)」という表示の記載を認可している。

ナッツについては、過去にハーバード大学が行った研究で、ナッツ類を1週間に5オンス(約140g)以上食べると女性の心臓発作による死亡が40%減少するという報告もある。

この他、8万6千人以上の看護婦を対象にした調査、Nurses'Health Study をHarvard School of Public Healthの研究グループが分析したところ、1週間 に5オンス以上ナッツ類を食べる被験者は全く食べない被験者に比べ、軽い心臓 発作を起こす率が32%低下、心臓発作による死亡率が39%少ないことが分かった という報告もある。

ナッツ類の有用性に関する最近のニュースでは、ピスタチオナッツがコレステロール値改善に有用であるという研究報告が、Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases最新号に掲載されている。


トルコのHarran University研究者グループによるもので、健常被験者44人(平均年齢33歳)に通常の食事か、1日の総コレステロールの20%がピスタチオナッツから摂取する食事のどちらかを与えたところ、3週間後、ピスタチオグループは、総コレステロール値が12%低下、HDL(「善玉」コレステロール)が26%上昇した。また、LDLとHDLの比率も1.82から1.58へと14%下がったという。

この他、Nutrition'05/9月号では、ナッツ類のクルミがメラトニンの重要な供給源になるという記事を 掲載している。University of Texas研究者グループが、ラットにクルミを配合したエサを食べさせ、 配合していないエサを食べたラットと比較したところ、前者のほうが血中のメラトニン濃度が3倍になっていた ことが分かったという。

メラトニンは、米国でブームとなり、日本でも一時期、若返りホルモンとして大々的に 紹介されたが、化学的な合成ホルモンの使用が認められず、市場形成に至ら なかったという経緯がある。


Copyright(C)2006 JAFRA. All rights reserved.|HOME >