【 2006/8 】

アンチエイジングで人気のコエンザイムQ10、1日摂取量の上限値で論議

高い抗酸化能を有することからアンチエイジング(抗老化)素材として人気のコエンザイムQ10(以下略、CoQ10)。しかしながら、現在、食品の安全性の検討・評価を行なう食品安全委員会で、健康食品として流通しているCoQ10食品が医薬品の用量を超えていることが問題視されている。

CoQ10は、元々うっ血性心不全の薬剤として薬局方にも記載され、1日30mgの用量が承認されている。日本では、数年前からサプリメント素材としての使用が許可され、1日の推奨量を30mg〜300mgとするCoQ10製品が流通している。ちなみに、米国では1日推奨量100mg〜1200mgの製品が流通しているといわれる。

こうした健康食品としてのCoQ10製品に、食安委が懸念しているのが、大量に長期摂取した場合の身体への影響。科学的データが十分でなく、これまでに、健常者を対象にCoQ10を100mg/日、6年間連続投与した報告もあるが、心筋症患者が対象で併用薬を投与しており、資料としては不適切とみなされている。

パーキンソン病の進行を遅らせるという報告も

CoQ10を大量投与した試験では、パーキンソン病の進行を遅らせることも報告されている。パーキンソン病は、筋肉の動きを司る脳内物質、ドーパミンを分泌する脳細胞に障害が生じ、顔や手などに震えや引き攣りを起こす病気で、米国では100万人(推定)が罹患し、さらに毎年5万人が発症しているともいわれる。

Pharmacology & Therapeutics'05/7月号に掲載された記事によると、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者グループが、パーキンソンの病初期患者グループ(各20人)にそれぞれCoQ10を1日に、300mg、600mg、1200mg、またはプラセボを与え、さらに全員に、ビタミンEも1200IU/日与えた試験で、被験者を、1、4、12、最大16ヶ月間みたところ、プラセボグループが+11.99、CoQ10の300mgグループが+8.81、600mgグループが+10.82、1200mgが+6.69だったことが分かったという。(+は症状の悪化)

パーキンソン病に関しては、これまでの研究で、血中のホモシステイン濃度とも関係していることが指摘されている。ホモシステイン値を下げるにはビタミンB群の葉酸やビタミンB6が有用といわれている。

以前、ボルティモアの研究グループが、マウスにビタミンB群の葉酸が含まれる餌か、葉酸が不足している餌のどちらかを与え、さらにパーキンソン病を誘発するMPTPを与えて観察したところ、葉酸不足のグループはパーキンソン病の重い症状を併発し、また血中のホモシステイン濃度も餌グループの8倍にもなったことがわかったと報告している。

最近の報告でも、ビタミンB6がパーキンソン病予防に有用であるという研究報告が、Neurology'07/7月号に掲載されている。
55歳以上の5,289人を対象にした研究(研究開始時は全員、パーキンソン疾患の徴候はなかった)で、10年の研究期間で72人が発症したが、ビタミンB6摂取の量が上位3分の1の場合、下位3分の1と比べるとパーキンソン病の発症リスクが54%低くなることが分かったという。


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