【 2006/9 】

アルツハイマー病予防に果物・野菜ジュースが一役

高齢化時代の到来とともに増加が懸念されているのが、アルツハイマー病や前立腺がんなどの疾患。日頃の食管理でこうした疾患の予防は可能なのだろうか。 The American Journal of Medicine最新号で、アルツハイマー病予防に、果物・野菜ジュースが有用であると報じている。 Vanderbilt University Medical Center研究者グループによるもので、認知症の徴候がないシアトル在住の日系アメリカ人1,836人(平均年齢72歳)を対象に、 果物・野菜ジュースの摂取状況を調べ、認知力テストを2年毎に、10年行ったところ、果物・野菜ジュースを週に3回以上飲むグループは1回のグループに比べ、アルツハイマー病発症のリスクが76%低いことが分かったという。

現在、アルツハイマー症の原因としては、「βアミロイド蛋白説」が最も有力視されている。βアミロイド蛋白はタンパク質のカスのかたまり が沈着したもので、神経細胞を殺す毒性があるといわれている。また、フリーラジカル(活性酸素)による脳機能の損傷も指摘されている。米農務省支援による実験で、 ラットに、いちご、ほうれん草、ビタミンE剤を配合した食事を毎日8ヶ月間投与したところ、老化による中枢神経組織の衰退や認識行動障害が予防でき、さらに神経変性障害の抑制に効果がみられたという。抗酸化物質を多く含むいちご、ほうれん草がフリーラジカル(活性酸素)による損傷を抑制したことが推測されている。

他にも、リンゴはアルツハイマー病予防に役立つということが報告されている(Journal of Alzheimer's Disease誌)。 University of Massachusetts Lowell研究者グループによるもので、通常のラット、アルツハイマー病に似た症状を呈しているラット、高齢ラットに、それぞれのエサにビタミンE(50IU/kg)か葉酸(4mg/kg)を混入、または濃縮リンゴジュース(0.5%)を混入して与えたところ、リンゴジュースを与えたグループでは、脳内神経伝達物質であるアセチルコリン値が他のグループに比べ25%増大したことが分かったという。


赤ワインに含まれるポリフェノール、アルツハイマー病
予防に貢献

この他、ワインもアルツハイマー疾患の進行予防に役立つことが報告されている (The Journal of Biological Chemistry誌)。 Litwin-Zucker Research Center for the Study of Alzheimer's Disease and Memory Disordersの研究者グループによるもので、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種であるレスベラトロールは、アルツ ハイマー病患者の脳内に見られるβアミロイド蛋白の生成を止めはしないが、分解 を促進し、しかも他の抗酸化剤の中では作用が群を抜いていたという。

また、ニューヨークの研究グループが、1991〜1996年、マンハッタン在住 の高齢者980人のデータを分析したところ。4年間の追跡研究期間で、260人が痴呆症 を発症、うち199例がアルツハイマー疾患で、61例は卒中原因の痴呆症だったが、ワインを全く飲まないグループに比べ、1日3杯飲んだグループは アルツハイマー疾患の危険性が45%減少していることが分かったと報告している。


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